今、我がFamilyの面々は、マミラリヤの枝上を、一心不乱に見詰めている。いつものメンバーの他、ピョン太、タカオ、亀様も加わっている。ログハウスの窓越しに、青年と老クスノキの、心弾ませている視線も在った。

理由は、今朝の談笑Timeの中で、ナギエから、(今、私は、とても脱皮したい気分が濃くなって来ました。多分、今日の午後、成虫へと生まれ変わるでしょう)との発言が有ったからである。
クモ吉が、ナギエの為に制作したベツドの側に寄り添い、僅かな動きでも見逃さないとするかの様に、優しげに彼女を見詰めている。

そんな緊張した雰囲気の中で、クモ吉が、喜びの声を発した。

○小蝶が、姿を現した○

その事実を目にした周りの者達から、一勢に、拍手が沸き起こる。(おめでとうございます)、
(おめでとう)、(オメデトウ)・・・・との、祝福の声が響き渡った。

小蝶は、脱皮した直後ゆえ、姿形はまだまだ幼い。けれども、健気にもハッキリとした声で皆に向かって挨拶した。

○みなさん！。こんにちは。小蝶ですよ。ここに至るまで、皆様には、本当お世話になりました。皆様のお力添えがなければ、こうして成虫になる事は叶わなかつたでしょう。不束者ですが、どうぞこれからもよろしくお願いします○

周りの者達は、○がんばれよ○と言う、優しい眼差しを注ぎなから彼女の言葉を聴いている。