Nicotto Town


モリバランノスケ


小蝶の願い

昨夜から、激しい雨が降り続いている。日本列島の太平洋岸に、前線が発達しるためである。四国地方には、線状降水帯が発生する模様.だ。今の所、南房総は、風は僅かだ。ここの草木樹木達にとっては、歓び溢れる、恵みの雨となるだろう。

我がFamilyは、全員揃って、breakfastを楽しんでいる。皆の視線は、母のお蝶も座っていた席に、チョコンと収まった、小蝶に注がれている。美味しそうに食べているのは、蜂蜜にメ゙ープルシロップを少しブレンドした一品。盛られている薔薇の絵皿は、お蝶が愛用した、大分の日田焼である。一同は、Breakfastが終わり、談笑Timeへと移る。

先ず、言葉を発したのは、小蝶である。(成虫に成り立ての私です。烏滸がましい事ですが)と、前置きして、話し始めた。

(先ず最初に、したい事なんですけれども・・)と話し始めたが、暫し口籠る。少し間を置いて、
(母の生まれ故郷、宮古島に行ってみたいのです)
と、続けた。皆は、その発言に、ビックリした表情。そんな雰囲気の中、彼女の護衛を自認するクモ吉が、(貴女は、生まれたばかりの幼蝶。日本の最南端に近い宮古島は、遠すぎます)と、それとなく、労るように、優しく言い含める。

その時、ログハウスの、天井、柱、壁の何処からともなく、落ち着いた、オペラなら差詰バスにあたる低音の声が響いた。

(そんな事は無いでしょう。私には、名案が在ります)と、喋ったのは、ログハウスのログ君だ。
彼は、我がFamilyの一員ではあるが、寡黙ゆえ、滅多に我々の会話に参加しょうとはしない、極めて奥ゆかしく思慮深い性格である。

私は、(君が発言するなんて、めずらしいね!。話を聞こうじゃありませんか)と、水を向ける。

ログ君は、最初、恥ずかしそうにしていたが、(少し長くなりますが良いでしょうか)と、前置きして、オズオズと話し始めた。

○皆さんご存知のように、私は北欧フインランドの生まれです。冬は厚い雪に閉ざされた厳しい自然の中に息づく深い森が故郷なんです。

このログハウスを建てたFホー厶が、その森の持主でした。私は、京都の製材所で加工されて、ここまで運ばれてきたのです。

時々、理由もなく故郷が恋しくなる事が在ります。年に数度ぐらいの頻度で、キューとか、ドタンとか、音を鳴らすことが在るでしょう。あれは、私がストレスを起こしている時なんです。ですから、そんな気分を転換するために、フインランドに帰るのです。皆さんは、どうやって?と思われるでしょう。話したいのはそこなんですよ。

実は、この庭森の上には、故郷フインランドのヘルシンキとシンガポールを結ぶ銀河Expressがはしっているんです。私は、それに乗って時々、故郷に帰ります。だから、それを利用すれば、小蝶さんが、宮古島迄の旅をするのは、容易ですよ!。

それと、ここの駅は、下の古道楠木兄弟の所なんです。駅長は古道楠木兄さん。彼に頼むと、車掌に連絡を取ってくれますので、銀河Express
は、ここの駅に止まります。だから、幼い彼女でも、安全に乗車出来て、宮古島に渡れます。
      ・・・・・・・・・・・・・・○

周りの者達、(なるほどネー)と言う驚きの表情。

私は、心のなかで、(さすがログハウスのログ君
だ。滅多に口を開かないが、言うことは金言!)と、感銘を受けている。




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