Nicotto Town


どんぐりやボタンとか


Richard Serra

このブログの「アーティスト紹介」シリーズでも紹介した、Richard Serraが亡くなった。

享年、85歳。
ニューヨークで亡くなった。

85歳が若いか十分生きたかなんていうのは愚問で、他人が決めることではない。
本人のみが、どうだったか?振り返ることのできるものだろう。
もちろん、それは彼に限らずね。

ごくごく個人的な思いとしては、もう少し生きて、また人々を驚かす新作を作って欲しかったと思う。
もちろん、彼の作品は巨大すぎて、彫刻というよりほぼ建築なので、彼が設計し、彼のスタジオなり、業者なりが制作するということになるのだろう。

数年前、確か、パンデミック前だったが、チェルシーのDavid Zwirner(というギャラリー)で、発表された 'Equal'という作品は圧巻だった。
今までに何度も彼の作品は見てきたけど、あれは個人的なお気に入りの一つ。
40t以上もある巨大なスチールのキューブを2つ重ねたのが4組、そのスペースに配置された作品で、その圧倒的な存在感とそのスペースに漂う空気は、言葉を必要としない禅にも通じる世界を生み出していた。

https://www.davidzwirner.com/artworks/richard-serra-equal-6817b

あれを作った時が確か、80歳くらいだったんじゃないかな?
であるなら、90歳でもきっと、もちろん健康状態次第ではあるけれど、何か作品を作れたのではないか?と思うんだ。
そして、彼のような人は、健康状態さえ許せば、きっと作ったであろうと思う。
David Zwirnerで展示したその'Equal'はすぐにMOMAが購入して、今や、MOMAの常設展示となっている。
あの作品ひとつだけでも一生食っても余るほどのお金を稼げたはずだ。
いや、それ以前からずっと彼は第一線で活躍してきていて、有名なギャラリーや美術館で展示してきてるから、きっとかなりのお金持ちだし、名声もある。
しかし、それでもなお、80になってもなお、作品を作り続けていたんだよね。
そうそう、それで、90とかになったら、それはそれでまた違う体力や精神状態であろうから、そこから生まれるものがきっとまた違うユニークさを持つだろうって予想したんだよね。
まあ、個人的な勝手な想像に過ぎないけれど。


そして、年になっても金や名誉があってもまだなお、作り続けた。
そこがアーティストたるところだろう。
アーティストというのが、他の職業と違うのは、そこだと思う。
もちろん、お金をもらってるから、仕事としての側面は十分にあるのだけど、「職業」とは違うものなんだ。

きっと、それはミュージシャンとも似てるかも知れないが、うまく言えないが、ミュージシャンとも少し違うんだ。
これに関しては、ここで詳しく説明するのは避けておこう。


Richard Serraは、間違いなく、ひとつの芸術のジャンルを築き上げたアーティストだった。
彼はもともと、画家になりたかったのだけど、少しづつ立体になっていき、いつしか彫刻家になったらしい。
それも頷ける。
なぜなら彼の作品からは、やはり、テクスチャー、感触、肌感、そして、そのサーフェイスから伝わってくる深みある味わい、というところは、絵画的であると言える。
しかし、同時にそのスペース全てを変えてしまうという点では、定義するのがとても難しい彼独自のアートとなるのだろう。
だから、彼のことはなかなか絵画、彫刻、などのジャンルに分けるのが難しく思う。
もちろん、便宜上は、彫刻に分けるべきなのだろうとは思うが。


日本には彼の作品はあるのかわからないけど、観る機会があればぜひ。

https://www.youtube.com/watch?v=8R7ypLGUN44&t=1108s

ちょっと長い動画だけど、もし気になった人は、飛ばし飛ばしでも見てみると面白いかも。

ご冥福をお祈り致します。

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2024/03/29 09:10
rihitoさん、

確かに、ある程度の知識や見識があると、芸術作品は見て、より興味深く、面白いでしょうね!
ただ、彼の作品の場合は、何の知識がなかったとしても圧倒されるような力があるように思います。
もちろん、rihitoさんの言うように、興味が全くなければ、初めから「見る気」が無い状態で見るので、あまり感動しないかもですが。。
アバター
2024/03/28 12:47
彫刻作品は、見る側の関心、知識や見る力も必要かもしれないですね。ちょっと感じたのは、先日、ホロコースト記念碑を思い出しましたが。力強い作品ですね。



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