Nicotto Town


モリバランノスケ


ウサコの夢#5

(いただきます)、と、我がFamilyのメンバーは、Breakfastを始める前に声を上げる習慣だ。けれど
食べながら、話をするのは厳禁。なによりも、今、目の前の事に集中する。これが、我が家の流儀である。色々と話を交わすのは、その後。

今日の話題は、勿論、お蝶の夢の話しである。
彼女も、皆の気持を察して徐ろに話し始めた。

○私は、その時、北海道知床半島の森に暮らすヒグマだったの。3年前に産まれた、女の子です。昨年までは、ママと一緒に行動してましたが、この春からは、独り立ちしました。今、半島の先端まで歩いて来て、海を眺めています。

良い天気です。空は、雲ひとつ無く晴れ渡り、国後島を、はっきりと見渡すことが出来ます。
私は、半島の象徴とも言える、エゾ松の枯木に登りました。身を横たえるのに、丁度よい枝振りの場所が在ります。そこは、私のお気に入りの所。何時も、そこで休憩を取ります。時には時間の立つのも忘れ寝てしまう事もあります。

今、私が一番気になる事。それは人との諍い。
山を離れて、街中に出没する我々が、人に危害を加えると、問題になっているでしょう。私達には、人間を襲う気なんか、全く有りません。
元来、私達は共存共栄を歌いあう、仲間です。

北海道の先住民、アイヌの人達は、我々ヒグマを、神の使いとして、崇めていたんです。祭りの際には、その象徴として、大事に大切に遇されてきたのです。長い間、お互いの友好関係は続き、私達から危害を加える事は有りませんでした。それなのに、今の状況はどうでしょう。

一番の原因は、私達の棲家、原生林の中に、山の恵(山葡萄、コクワ、等など・・)が、減少した事でしょう。そのために、人里(街中)まで、出かける様に、なってしまったんです。元はと言えば、地球温暖化の為。そして、元々はと言えば
、人間の欲望の為。文明文化の発展と言う、大義名分を旗印に、物欲の限りを尽くした現状○

ウサコは、ここまで話すと、押し黙った。

周りの皆は、なるほどね~、と言う表情をしながら、聞いていました。




Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.