Nicotto Town


キラキラ集め報告所


ファイブスターズ(仮)4-6

-戦いを制するのは、死をも恐れぬ勇気。
エルシアはそう考えた。
更にこの戦いは早めに決着をつけねばならない状況。
故に彼は躊躇なく、“戦乙女の精霊”に語りかけた。
「戦乙女の精霊よ!剣を手に戦う者に力を!『ファナティシズム』!」
その言葉と共に、クリルの配下と刃を交えるチャーリー達に、
自ら傷つく危険と引き換えに、己の一撃を決めやすくなる力が宿る。

「力が…湧き上がる!うォおおおッ!」
雄叫びを上げながら振り下ろしたチャーリーの一撃は、
目の前の敵に強烈なダメージを負わせた。
「…いけるっ!」
ファリシアも非力ながら、やはり眼前の敵に手傷を負わせる。

「…考えることは同じ、か。なら私も続こう」
続いてマートは、武器に一時的な“力”を付与する上位古代語を紡ぎだす。
「万物の源なるマナよ!刃に宿る力となれ!『エンチャント・ウェポン』!」
次の瞬間、チャーリー・ファリシア・バルガスの手にする武器に輝きが宿る。
「感謝するぞ!若いの!」
「私の事はいい!それより彼女を!」
バルガスの声に、マートは声を張り上げる。
その目線の先には、生贄にされかけた少女を、
小さい身体を張って守っているリルルがいた。

「そこを退け!小娘!」
怒声とともに斬りかかるクリルの一撃を、リルルは紙一重で受け流す。
「そう言われて素直に退くヒトはいないわオジサンッ!」
(この子は絶対アタシが守りぬく!)
クリルの手にした剣からは、黒い液体が滴り落ちる。
それが何なのかはわからないが、明らかに毒だろう。
「!?…『語るに落ちる』とはテメェの事だな!待ッてろ!」
配下の反撃を喰らいつつも、チャーリーがクリルを睨みつけて叫ぶ。
「我が神ブラキよ!お力を!」
その思いが通じたのか、バルガスもまた目の前の配下に有効打を与えた。


「…」
「君は何もしないのかね?」
「いえ。ただ、呪文を使うのは時と場所を考えろと-」
「成る程。なら私は私の務めを果たすのみ」
静かな、しかし鋭い目線を前方に向けるエルシアを余所に、
マートは次なる呪文を紡ぎだした。

「…くっ!」
傍で戦う仲間と違い、非力で華奢なファリシアは、
先程の反撃を喰らって、守りに徹する。
(一刻も早くあの子達を助けたいのに…っ)
己の無力さにギリと小さく歯軋りした。
「邪魔だオラァッ!」
そんな彼女を余所に、チャーリーの怒涛の攻撃は続く。
その一撃で彼の目の前の配下はあわや倒れるところだった。
「万物の源なるマナよ!彼らを守る鎧となれ!『プロテクション』!」
今度はチャーリー達の身体が淡い光に覆われる。
それを見届けたマートは、あまりの疲労からか片膝をついてしまった。
「!?」
「心配には及ばん…だが、これが私の限界だ」
突然の事にエルシアはマートの方を向くが、
マートはそう言って杖を頼りに体勢を立て直す。
だが彼は既に肩で息をしているような状態だ。
「貴方は十分役目を果たしました。…後は、信じましょう」
エルシアはそう言いながらも戦況がどう変わるのかを見張り続ける。

「ぬぉう!?」
バルガスの素っ頓狂な悲鳴が響く。
彼と戦っている配下の不意打ち蹴りが思いもよらず命中したのだ。
続いて、チャーリーの相手は暗黒語による『キュアー・ウーンズ』で傷を癒す。
「…卑怯な!」
「笑止。我らは我らの教えに従ってるまで」
ファリシアの叫びは、配下の嘲笑で返された。

一方で。
「糞…忌々しい。だからグラスランナーは!」
クリルは目の前の女グラスランナーにかすり傷さえ負わせられない事に苛立っていた。


「聖ファリスよ!彼の者を癒したまえ!『キュアー・ウーンズ』」
ファリシアが澄んだ声でバルガスを癒した次の瞬間。
「…いつまでもテメェに構ッてられッかよ!」
チャーリーの捨て身の一撃が決まった。
信じられないといった表情で、彼の眼前の配下は崩れ落ちる。
それが突破口となった。
「!?…命拾いしたな、小娘」
やはり攻撃を受け流され-ついでに刃に塗っていた毒も振り剥がれ-たクリルは、
忌々しげに舌打ちしながらも、
不気味な笑みを崩さぬまま、チャーリーを迎え撃とうとしている。

アバター
2010/05/14 11:45
RPGの戦闘だと、仲間4人にバイキルト・ピオリム・スクルトかけて、
一方ではルカニ…みたいのが普通になってしまっていたけど、
ここでは2つかけて限度…というのが、リアルです。

「エンチャ」「プロテクション」はそれぞれ全体掛けのようですね。
これを1人でこなすのはさすがにキツいか。
回復は誰がやるのだろうか…

リルルの子供に対する正義感に対するエピソードがあるのか…

今回も楽しく読ませてもらいました

アバター
2010/05/08 15:52
なつかしの、SWの魔法を使った戦闘シーンです。
神聖魔法、精霊魔法、古代魔法の使い方が効果的だなあ。
グラランの特性が良くかけてますね。



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