ファイブスターズ(仮)4+α-1
- カテゴリ:自作小説
- 2010/05/12 04:39:25
注意・この物語は現実世界とは異なるフィクションです。
飲酒(禁煙)は二十歳になってから。
オジサンとの約束だぞ。
ファリシア達が『クリルの教え』事件の報告を終え、ファリス神殿を後にした時、
「そうだ!折角だから皆で一杯やろうぜッ!」
「さんせーい♪」
チャーリーの一声に、リルルもヒラリと一回りして答える。
「…そうだな。親睦を深めるのも悪くはない」
「決まりじゃな」
「では私達が集まったあの店へ行きましょう」
残りの三人も彼に続き、『麗しの我が家』亭へと向かいだした。
「…仕方ないですね」
今までファリス神殿で過ごしたファリシアにとっては、
あの酒場の騒々しさには少々辟易しているものの、
これからは、そこがいわば彼女の“家”にもなる訳だ。
(店の人達とも付き合いは長くなりそうですしね)
ファリシアはそう結論付けつつも、懺悔の意味で十字を切って一行の後に続いた。
「いらっしゃいませー!“五つ星”の皆様ですね。
武器を預けた後、奥の部屋へどうぞー!」
店に入ると、店員のミナが一行を出迎える。
「あの…まだ何も言ってないのですけど」
「お嬢さん、俺も元冒険者なんでね。耳は聞く方なのさ」
戸惑うファリシアに、
カウンターに立っている精悍な身体のバーテンは彼女の顔を見てニヤリと笑い、
件の奥の部屋-オーナーがいたのと別の部屋-を指差した。
「つけ加えるなら、今回のセットメニューと飲み物とは俺の奢りだ。遠慮しなくて良いぞ」
「マジかッ?」
「但し。出世払いで返してもらうがな」
灰色の髪のバーテンはまたニヤリと笑う。
でも嫌な感じはしない。むしろ好感の持てそうな人物だ。
「分かりました。では少々お待ちを」
武器を預けたファリシアは、背負い袋から羊皮紙と羽ペンを取り出す。
「お、おいお嬢さん?一体何を-」
「借用書です。料金はおいくらでしょうか?」
真顔で問うファリシアに、バーテンは苦笑した。
「全く…三千ギメルだが、無利子無利息で期限なし。
持ってる時の現金払いで構わん」
「…わかりました。お心遣い感謝します」
やや冷やかしのニュアンスを込めたバーテンの台詞も、
ファリシアは、ペンを走らせつつ、いたって真面目に答える。
「あ、最後にお尋ねしますが…貴方の名前は?」
「…“灰色の狐”フォックスだ」
「フォックス…まさかあの“灰色の狐”ですかっ?」
「俺の事を知ってるのかい?お嬢さん」
「名前は今始めて知りましたが、過去何度か顔を見たことがあるので」
「…ああ、昔の事だな。それはもう古い話だよ」
オールバックの髪型のバーテン-フォックスは、
現役だった頃を思い出し、遠い目をして苦笑いを浮かべた。
そして。
「…そんな事より、仲間達はもう既に先行ってるぞ」
「!?」
フォックスの声に、ファリシアは慌てて周りを見回す。
チャーリー達は、もう既にミナの案内で奥の部屋に入ろうとしている。
「では私も彼らと一緒に行きますので」
賑やかな店内をすり抜けるように駆け寄るファリシアを見て、
彼は小さく溜息をついてポツリと言った。
「…『蛙の子は蛙』か。血は繋がってないのにな」
「それじゃあ…まずは飲み物からです。ご注文をどうぞ」
例の個室で集まった一行は、次々とミナに注文する。
「私はワインだ。できればチーズクラッカーもつまみに頼む」
「ワシはエール。もちろんジョッキでな」
「アタシは苦いのイヤだから…蜂蜜酒で」
「じゃあオレもそれでいいや」
「あの…酒以外のものもありますか?」
一行が次々と注文する中、ファリシアが気まずそうに尋ねる。
「もちろんございますよ~」
「では私は紅茶を…」
「畏まりました~」
「酒場に来たからには酒を頼まないと嫌われるぞ」
「アハハーっ。そんな事ないですから気にしないでくださいねっ」
真顔で言うバルガスを余所に、ミナは笑顔のままで両手を振ってそう言った。
「…で。アンタは何にする?」
チャーリーはエルシアに話を振る。
「…ここに来る途中で聞いたのですが…人の法では未成年は禁酒だと」
「国にも寄るけどな。けど突然何を言い出すんだ、アンタ」
「だったら私は駄目ですね。私は所謂未青年ですから」
「えーっ、そうなんですか~?私はてっきり貴方も大人に見えるんですけど…」
ミナの問いに、エルシアは小さく肩を竦めて答える。
「私はまだ35ですから」
「「…えぇぇぇっ!?」」
その言葉に驚いたのはバルガスとリルルだ。
「なァ、何で驚くンだよ?」
「…師匠から聞いた話だが、エルフは普通100歳で成年とみなされるのだ」
「なので私は葡萄ジュースをお願いしますね」
チャーリーとマートとが囁く中、エルシアは平然と注文する。
「…畏まりました。では、用がありましたら、
部屋を出てこのベルを鳴らしてください。どうぞごゆっくり~」
注文を聞き終えたミナは、そういって手持ちベルを置いて部屋を去った。
「…」
「言ったはずですよ。私は訳ありだと」
一行の目線を一身に受けてエルシアは苦笑した。
若すぎるので却下 orz
まだ寝てたようですね~><
「35」です(汗)。
本来なら確かにお勧めできませんけど、私が書く物語ですから、
特例として認めました(苦笑)。
(いずれエルシアをメインにしたエピソードを書くつもりです)
>萌☆もっこす さん
解説を一つ。
この物語は『ソード・ワールドRPG(完全版)』を基にして書いてます。
その背景世界であるフォーセリアでは、
エルフなどの異種族も、【肉体が成長するスピードは人間と大差ない】となってます。
(そして人間は【15歳で成年とみなされる】とも)
しかし。
ラトさんの仰るとおり、異種族の場合は【肉体が成長しても、成年とはみなさない】のです。
ルールブックによりますと、エルフは100歳、ドワーフは30歳、グラスランナーは40歳で
初めて【成年とみなされる】のです。
(ハーフエルフはちとややこしいので省略(ヲ))
これでお分かりいただけたでしょうか?
ウェン・スペンサーの「ティンカー」を思い出しますたw
うーむ、しかし。
年齢の背景にあるものが、精神的なものか、肉体的なものなのか。
またその時制が、天体周期によるものなのか、個別の概念によるものなのか?
気になりるところですね。
すみません理屈っぽくて(汗)
それは飲んだらあかんわw