昼休みは図書室で
- カテゴリ:自作小説
- 2010/09/03 08:34:57
今日も暑い。
暑いけど、ボクはここにいる。
学校の図書室だからって、冷房が他よりも効いているわけじゃないけど静かな雰囲気だけで体感温度が下がる気がする。
でも、ボクは今日も暑い。
なぜならボク 牧野信行には目的があるからだ。
いつもの席で、いつものように本を読んでいるあの娘。
名前だけは知っている。
高橋亜由美。
彼女が借りた本の図書カードをこっそり見たんだ。
でも、ボクが出来たのはここまで。
何年でどこのクラスかも知らない。
どんなクラブに入っているのかも知らない。
知っているのは、名前と昼休みにいつも同じ席で本を読んでいるってだけだ。
初めて彼女を見たのは2ヶ月前。
その四日後も同じ席で彼女を見かけた。
次の週明けの月曜日も同じ席だった。
それから毎日、昼休みに図書室に通うのがボクの日課となった。
改めて思うけど、りっぱなストーカーだ。
声もかけられないストーカーだ。
でも、ストーカーってそういうものなのかな?なんて自分に言い聞かせている。
予鈴がなる3分前になると、彼女は本を閉じて図書室を出て行く。
まだ席に座っているボクと一瞬だけすれ違うんだ。
この一瞬のためだけに図書室にいるようなものだ。
2ヶ月間の一瞬を集めると2分ぐらいにはなるのかな?
ボクと彼女は2分間は一緒にいることになるのかな?
自分でもくだらない計算をしてるってわかってる。
でも、そんな事を思うだけでも胸の奥に小さな火が灯るんだ。
チョット・・嬉しい・・・デモ・・・情けない・・・。
予鈴3分前だ。
いつものように、彼女がそっと本を閉じた。
ボクの横を通り過ぎる瞬間、ちょっとだけ瞳が合った。
鼓動が大きく弾んだので、彼女に音が聞こえたんじゃないかって思った。
彼女が出口に向かった横顔にフッと微笑みが見えた。
心臓の回転数が急激に上がるのを感じる。
喉の奥がひりつくような感覚が充満した。
『あ・・・あの!!』
彼女の背中に向かって声をかけた。完全な裏声だった。
立ち止まった彼女はゆっくりこちらを向いた。
声をかけたけど、何を話していいのかわからなくなって頭が真っ白だった。
『あの・・ボク・・・その・・』
彼女の首が少し傾いて、かわいらしい声が聞こえた。
『どうしたの?牧原クン』
え?なんでボクの名前をしってるの?って言おうとおもったけど声には出ていなかった。
『どうして・・知って・・・』
『だって、いつも私を見ていたでしょ?』
『あ・・・え・・うん・・・』
ヤバイ・・ストーカーしていたのがバレていた?気持ち悪いって思われていたらどうしよう・・・。
『私も・・・牧原クンを見ていたから・・・』
『え?・・本当・・・?』
彼女のほほが朱色に染まっていた。
ボク達二人の間に何かが始った。
なんて、ゲームのような都合の良いことをいつも考えてる。
彼女はとっくに図書室を後にしていた。
予鈴の音がボクを現実に引き戻す。
そんなうまい話があるわけがないよ。
自分勝手な妄想を自分自身で戒める。
声すらかけられない事への言い訳を必死で考えている。
明日の昼休みも図書室へ来る用事が出来たな。
独り言をつぶやいて、ボクは図書室から教室に向かった。
ありがとうございます。
淡々とした文章『しか』書けないのは秘密で・・・w
淡々とした文がとてもきれいに感じました^^
個人的にこんなショートストーリーがとっても好きです♪
お暇でしたらゼヒ、私の自作小説も読んでみてください☆
続きのオチまで考える文才がないのです・・・(泣)
ショートショートストーリーも今後を続けていくつもりです。
よろしかったらまたお願いします
オチびっくりしましたww
短編ですかー(泣
続きみてみたいですww
続きはないんですよー
一話完結の短編小説なので(笑)
違う短編を今後お送りいたしますです。
青春時代を 思い出すわぁ~(〃▽〃)