魔法少女
- カテゴリ:自作小説
- 2010/09/05 14:05:44
14年生きてきて、初めて知った事実がある。
どうやら世の中には【魔法少女】っていうのが本当にいるらしい。
『魔法じゃないよ!黒魔術だよ!マモ兄ぃ!』
妹のミサキが目を三角にして僕につっかかってきた。
黒魔術?を使う女なら魔法少女ではないのだろうか?
『だー!ぜんぜん違うんだよー!もういいよ。マモ兄ぃは関係ないんだからアッチ行け!』
まだ残暑の厳しい部屋の中でカーテンを閉め切って黒いマントを羽織る13歳の妹。
成績は良いらしいが、本物のアンポンタンが身内にいるっていうのはいただけない。
『なんか、アタシの悪口を考えてるぅ?』
口をとんがらせたアンポンタン・・・じゃない愛しの妹が睨んできた。
『なにが愛しの・・だ!アタシの悪口ばっかりじゃんマモ兄ぃは!マサ兄ぃとは全然違うよ!』
ミサキの言うマサ兄ぃとはウチの長男のマサル兄さん16歳の事だ。
兄さんは顔良し、スポーツ万能、成績優秀と三拍子そろった家族自慢の息子であり、顔普通、スポーツ普通、成績普通とこれまた三拍子そろった僕と同じ土俵で比べる事がおこがましいという状況である。
そんな訳で僕は小さい時から無駄な努力をしない事を身上としてきた。
あまりにもスペックで違いがあると比べようとか追いつこうとか嫉妬心とか出てこないものである。
『アタシ、マモ兄ぃがダメだとは思わないよ?自分を磨いてないだけじゃん』
コンニャロ~、アンポンタンなくせに言うことが一人前になってきやがってぇ。
『本当のこと言われると、人間は癇に障るだってぇーキャハハ』
断言しよう!中学生の妹に萌えはない!アキハバラからの情報はウソばっかりだ!
『それよりさ、そろそろ儀式を始めるからドアをしめてくれない?』
さて、この魔法少女が何をおっぱじめるのかというと、兄さんに呪いをかけるらしい。
さっきも言ったが、この兄貴はそうとう高いポテンシャルをもっているため、それはもう女子がほおっておかないのだ。
まぁ、つまりとてもモテるのだ。
去年、同じ中学であった僕のところに『お兄さんに渡してね・・』と頬を染めながらラブレターやらクッキーやらプレゼントやらをもってきた女性が何名いたことか。
しまいには担任の先生にまで
『お?お勤めご苦労だな』
なんて言われる始末だ。こっちの身にもなってほしい。
このモテっぷりは高校生になった今年も健在・・・・いやヒートアップしているらしい。
理由は知らないけど、今のところ兄さんは彼女は作っていない。なぜだろう?
で、彼女を作っていない理由は私のおかげだーと声をあげているのがこの妹なのだ。
『変な女がマサ兄ぃにくっついたら困るでしょ?だから私が黒魔術を使ってバリアを張っているのよ!』
妹が言うには、このバリアは3日しかもたないらしい。
だから、コマメに儀式をし続ける必要があるんだそうな。
こんな事をミサキは2年ぐらい前からやっている。
図書館行ったり、ネットを駆使して魔法について調べて、あやしい呪文やら円陣なんかを使っている。
この妹の将来がとても不安だ。
子供の遊びだろうっていうことで両親も兄さんも気にしていないようだ。
コイツはいつまでこんな事続けるんだろう?
『いつまで?そりゃずっとよ!!』
兄さんに本当に好きな人が出来たらどうするんだ?その人も追っ払うのか?
『当然じゃん!!そんなのアタシが認めない!』
このブラコンめ・・・。
『ん?マモルおにいちゃんもバリアを張って欲しい?かわゆい妹がやってあげようか?』
バカタレ。んなもん無くても女は寄ってこないよ。
どうせなら、たくさんの女の子にモテモテになるような魔法にしてくれ。
『黒魔術だっての!どっちにしてもそういうのはありません。自分で努力してちょーだい』
ちぇ・・使えないヤツめ。
『だいたいさぁー、たくさんの女の子に・・じゃないじゃん?なんだっけ?高村和美さんだっけ?同じクラスの』
ぬわぁぁぁー!なぜ、その名前を!!
『キャハハハ!これぞ黒魔術の秘儀よー♪』
どうやら世の中には【魔法少女】っていうのが本当にいるらしい。
アニメになったら おかあさん役をお願いしますねw
アニメにできそうな 話だw