Nicotto Town



深夜の相談

携帯電話が着信音を大音量で奏ではじめた。

いけない、マナーモードにするのを忘れていた。
うるせーなぁ。誰だよこんな時間に。

ディスプレイには友人の名前が表示された。
面倒くさいと思ったが、とりあえず電話に出ることにする。

『もしもーし。今平気ぃ?』

相変らず軽い調子だ。用事はなんだ。

『なんだよー機嫌わりぃーな?寝てた?』

夜中の1時だからな。普通は寝てるだろう?

『俺らみたいな大学生の夜中の1時は十分活動時間だよー?』

そいつは良かったな。俺はお前とは違う大学生でいいよ。

『なんだよつれないなー、ちょっと相談したいことあるからさー、今から行くね』

あ?何いってんの?夜中の1時だってわかってんのか?大体、お前の家から30分はかかるだろう?

『あ、ごめーん 実はもうキミのマンションの前まで車で来てるんだよねー はっはっはー。降りてきてよー』

しょうがないので、速攻で着替えていった。

『わりぃねー。とりあえずファミレスでコーヒーでも奢るよ』

ファミレスに着くまで、2人でとりとめもない話をして過ごした。

『何頼む?俺はエビフライセット食べるけどー』

夜中に1時過ぎにずいぶんヘビーなもの食べるんだな。俺はコーヒーでいいよ。

『なんか腹へっちゃってさー。いいの?コーヒーだけで?奢るよ?』

いいんだよ。おかわり自由なものがいいんだ。
どうせ、長くなるだろうからな。

この時間にコイツに呼び出されて、相談があるなんていう場合は確実に帰りは朝になる。
明日の1限は休みだな。

エビフライにハンバーグも着いているセットをぺロリと食べて、更にアイスまで食ってやがる。
本格的に長くなりそうだ。

『それでさー、相談っていうのはさー、あのさ、なんていうのかな。俺ね2週間前からバイトしてるんだけどぉー・・・』

兎に角、コイツの話は長い。
こと細かく状況をイチから説明してくれるのはありがたいのだが、なかなか確信まで進まないという欠点がある。
あまりにも細かい説明なので、ヤツの状況がビジョンとして俺の頭に浮かぶほどだ。
それはそれで凄い事なのだが、ウザったいことこの上ない。

ヤツの話したいことを要約するとバイト先の女の子に可愛い子がいて一目ぼれした。
という事らしい。

時計もみたら、2時まわってた。
30分以上説明を受けたことになる。
とりあえず、コーヒーはもう一度おかわりしよう。

『それでさ、どうやって告白しようかって悩んでるんだよねー』

また、これだ。
コイツにもう一つ欠点があるとすると、ものすごく惚れっぽいのだ。

この半年に6人に告白している。
1ヶ月に1人のハイペースだ。ある意味勇者じゃないのかと思う。
しかも、すべて玉砕という勲章付きだ。

コイツが誰かに惚れるたびに、こうやってファミレスで話を聞いているのが俺ってわけだ。
いいかげん、このループを抜け出せないものかね。

『告白はバイトが終わった後でいいよね?』

これまた、トンチンカンな事をいって悦に入ってる。

あのな、もう何度も言うが告白はまずやめろ。

『えー?なんでさー?』

もうちょっとさ、遊びに行くとか、映画に誘うとか、そうだ!遊園地なんかもいいぞ?

『それはさー、付き合ってから行けばいいんじゃん?』

違う・・・・違うんだよ・・・。

だって、さっきの話を聞くと、お前とその好きな子って友達っていうより単なるバイト仲間って感じじゃん。
盛り上がってるのお前だけだろ。
彼女はお前の事、全然気にしてないじゃないのか?

『うーん・・・まぁ、そうかな?あまり話してないしぃ』

話してなかったら、お前の事わかってもらえないじゃないか。
付きあうとかの以前の問題だ。
まず、お前というキャラクターを判ってもらわないとマズイだろう?

『うん。だから付き合ってから判ってもらおうかなーって』

だぁぁぁああああ!
ちがうぅぅぅぅ!
俺は女じゃないがその意見には反対だ。
男女の問題じゃない。ヒトとして関係性を大事にしろぉぉぉぉ。

『やだなー。何興奮してるのさー。他人がみてるよ?』

お前の事を心配してるんじゃねーか!
このままだと、恋愛7連敗っていう不名誉が降ってくるんだっつの。

『えー?やってみないとわからないじゃん。それにさ、俺って好きですって宣言してからじゃないと動けないんだよねー』

だーかーらー。いきなりそんなこと言ったら女の子が引くって言ってるのがわからんのかぁぁぁああ。

まぁ、判らないんだろうな。

あ、もう4時すぎた。
そろそろ、日が昇ってしまう。
帰ろうぜ?な?

『そだなー。今日はありがとうー。俺、がんばるよー♪』

あー、うん、がんばれ。
もう告白する前から未来が見えるよ。玉砕という未来が。

そんな事を胸に思ったが、あえて言わずにいた。
言っても聞いてないだろうし。



数日後、やっぱり夜中の1時過ぎにアイツから電話があった。

『今さ・・・下にいるんだ・・・いいかな・・・』

声を聞いただけで、結果がわかる。

7連敗記念だからな。
コーヒーぐらい俺が奢るよ。

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2010/09/18 01:15
to あきちゃ

コメありがとう~~
読んでくれて二度ありがとう~~

そうですね。コイツらずっと こんな感じなんだと思いますw
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2010/09/17 22:32
んばーっ。
読ませてもらってまーすww

おぉ、情景が目に浮かぶようですね、主人公いい人♪
これからもずっと腐れ縁なんだろうなって、未来まで想像できちゃいますっww
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2010/09/15 21:07
toどるふぃん
いえいえ~、一応小説ですので架空です。
まぁ、似たような体験は何度かあるけどねw
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2010/09/15 19:50
これって現実での話?
なんかおもしろい関係だね♪
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2010/09/15 09:02
toシェアリー
そうなんです。確実に多いと思います。
特に中学、高校と男子校の男子にその傾向がみられるようです。

たぶん、彼は8連敗は免れないんでしょうねw
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2010/09/15 08:10
こんにちは。
この彼みたいな男性って、結構沢山居る気がします。
恋愛理論というか、根本的な部分がちょっとズレてるんだけど、
本人は気付かないというところがリアルに描出されていて、
「うんうんそうそう!」という気持ちで読ませて頂きました。

「俺」に奢ってもらったコーヒーは、苦かったかしら、甘かったかしら。
味なんて・・・わからない人だったら・・・・
8連敗に向かっちゃうのかなぁ。
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2010/09/15 00:32
to綾梓
そんな かわいそうすぎる・・・
ファミレスに付き合ってる主人公が・・・w
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2010/09/14 17:08
がんばれ 10連敗b
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2010/09/14 16:11
toはるちゃん
内容は小説ですので架空ですが、暴走しているヤツにはモデルがいます。

でも、若い男の何割かはこういうヤツが確実にいるようです。
難儀だねえ~w
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2010/09/14 13:38
分かってないなぁ。。コイツ(笑)・・てな感じねw
3連敗くらいで 気付いてよねぇ。。(笑)

その彼に 夜中でも 付き合う友達、おつかれーww

最後の『俺が奢るよ』・・なんだか とっても 温かい感じがしたw




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