俺の彼女は腐女子である。らしい。
腐女子がなんたるかは、俺には理解を超えている話だ。

ちなみに、最初から知っていたわけではない。
いや、オタクっぽい事は承知で付き合ったんだ。

ワタシ、アニメとか好きだよ～って言ったし、俺だってワンピースとかしっかり録画して見てたりしてる。
メラメラの実とかちょっと食ってみてぇとか思ったこともある。

彼女もワンピースが好きだって言ってた。得にサンジがいいんだってさ。
アニメのキャラクターにキャーキャー言ってるからって俺をないがしろにしてるわけじゃない。

前のデートでも弁当とか作ってくれたりするんだ。超うまかったよ。

この間も友達とファーストフード店でダベっていた時も、彼女自慢をしておいた。

ところが、ダチの１人がいきなり、
『へぇ～手作り弁当イイねぇー。でもさ、大輔の彼女って実は腐女子なんじゃねぇ？』
え？なに？フジョシ？
『なんだ、しらねーのか？俺も詳しくはないけどＢＬとかやおいとか好きな女の子』
びーえる？悪いけど一般人にも判るように話せよな？
『だからさぁー、ぶっちゃけ？ホモ好きのオンナの事だよ。腐女子ってさ♪ぎゃはは～』
なにぃーー？？俺っていう彼氏がいるのにホモ好きなのかー？
『いやいや、ごめんごめん。俺もよくしらねーんだけどさ、ウチのねーちゃんがそんな本読んでたんだよね』

知らなくてイイ知識をもらっちまった。世の中って色々だ。

まぁ、俺と彼女には関係ない話だって思ってた。

ところがある日、彼女と一緒に学校から帰っていたのだが、彼女の機嫌があまりよくなかった。

『あ、ゴメンね。大輔のせいじゃないの。ちょっとネットの友達とケンカしちゃってさ』
ネットの友達？・・・へぇ～、そういうのも友達なのかぁ～。

『今更、古い話もちだすなってーの！って感じでさぁー。アタシとモコピー・・あぁ　モコピーってネットの友達ね』
モコピーですか・・・。ずいぶんビビットなお名前で。

『やだなーネットでの名前だよー。ちなみにアタシは、なっちゃんね。』
お前、和美じゃん。いや、まぁいいよそんなことは。

『あ、それでーアタシとモコピーはサンジ×ゾロ派を未だに貫いてるのね。したらさー、ゾロ×サンジ派のキョーコがさぁいちゃもんつけてきてさー。もうまいっちゃったよ～』
す・・・すまねぇ・・アナタの言ってることがほとんど理解できない。
なに？サンジ×ゾロとゾロ×サンジは同じじゃないの？

『えぇ？全然違うよー！そこを同じにされると話が成り立たないじゃん！』
言い方を変えてるとしか思えないんだけどなぁ。

『あれ？あぁそっか、大輔に言ってなかったっけ？』
え？何をですか？

『アタシ～腐女子だからさぁ～』
いきなりのカミングアウトですか？
あの、腐女子の説明とかはいらないんだが、そのＢＬ？とかが好きなのか？

『うん♪大好きだよ～～』
うわぁ・・なんか眩暈がしてきた。

その後、そのサンジ×ゾロについて語ってくれたようだ。
彼女の顔がどんどん輝いていくかたわらで俺の顔色はどんどん悪くなっていった。

『まぁ、そこらへんはディープな世界だからぁ～、ま、大輔には勧めないよん♪』
最後に可愛らしく最高の笑顔を向けてくれた。


夜、夕飯が終わったあと、ダチに電話した。

『おう、どうしたー？え？なに？彼女が・・マジで腐女子だった？』
とりあえず、事のすべてを電話ではなした。

『へー、冗談で言ったのになぁ。本当だったとは。まさに瓢箪から駒！』
いや、ちょっと違うと思うんだけど。まぁいいか。なぁどうしたらいいかな？

『ん～～、とりあえずねーちゃんの本を貸そうか？』
それって何の問題解決もしてないような気がする。

『そっかー、ま、いいんじゃね？彼女が腐女子ってだけで他は問題ないんだろ？この前だって自慢しまくってたじゃん』
言われてみればそうだよな。普段は普通だしな。ゴメンな、ありがとう。

『いやいや、それよりさ、俺さぁちょっと気になる娘がいるんだよ～』
おお。なになに？どんなコだよ～～。


『いやぁ～その娘さぁ、電波系でさぁ～』


ゴメン、意味わからない。うん、手助けできないと思う。
用事あるから切るね。
バイバイ。