春風の花嫁
- カテゴリ:自作小説
- 2010/10/02 11:15:00
娘が結婚することになった。
22歳の花嫁だ。都心の晩婚化が進んでいる中では早い方ではないのだろうか。
結婚を許したのは、花婿の笑顔があの男に似ているからなのかもしれない。
そう、それはまだ私が妻と出会う前のことだ。
その日は、昼飯を取るのが遅れて一人で近場の食堂で食事をした。
偶然、となりの席に同期の男が座っていた。
部署が違うので顔みしり程度であったが、どちらも一人だったのでたわいもない話をしていた。
唐突に、同期の男はきりだした。
『ボクは今とても幸せなんだよ』
『そうかい。それは良かったな。何かあったのか?』
『とても好きな女(ひと)に出会ったんだよ』
『ふーん』
つまらないノロケ話を聞かされるのかと思ったので曖昧に返事をした。
私の心情を知ってか知らずか男は話を続けた。
『彼女はボクに春の風を運んでくれるような女性なんだよ』
『そんな女と付き合えて、そりゃ幸せだな』
『いや、ボクは彼女と付き合ってる訳ではないよ』
『君の片思いなのか?』
なんだ、恋にのぼせてるだけなのか。
好きな女を天使とみたてて崇拝でもしているらしい。
『彼女とボクは良き友人だが、友人の枠を超える事は難しいだろう』
『高嶺の花、とまではいかないがイイ友達でいましょうってヤツかい?』
『フフ・・・はっきり言うね。そうだね、高嶺の花なのだろう。彼女を手
に入れられるならボクは悪魔に魂を売るよ』
『ずいぶんご執心なことだな』
男は、それほど素敵な女性だということさと言ってお茶を飲み干した。
そこで、私に疑問が一つ沸いたので聞いてみることにした
『意中の女性がすばらしい事はわかったが、付き合う事はできなのだろう?』
『そうだろうね。彼女には他に付き合ってる男性がいるからね』
『それはまさに横恋慕というものではないか。どこに君の幸せがあるんだい?』
『彼女と出会えた事が幸せなのさ。彼女の存在を確かめられる事が幸せなんだよ。そういう人と知り合えた事を神に感謝したい』
男の笑顔に迷いというものは感じられなかった。
純粋に、ただそこに居るという幸せ。
今でいうストーカーと言われるようなものではなく、博愛に似た心情。
その後、男は会社を辞めてしまったので結末は知らない。
私も妻と出会い、結婚をし、子育てと仕事に忙しく その男の事などすっかり忘れていた。
娘が連れてきた若造の笑顔を見たとき、あの男が最後に見せた笑顔と重なった。
埋もれていた記憶がよみがえる。
私の娘が花婿になる男に春の風を運んだのだろうか。
そうであるなら、二人の出会いを祝福しようじゃないか。
そう自分に言い聞かせて、グラスに酒を注いだ。
娘は、来週ヴァージンロードを私と歩く予定だ。
誤解がとけてよかったですw
to あきちゃん
そうなのよーお父さんは大変なのよーw
まぁ、あせってもしょうがないでしょう
あきらめるのは良くないけどね♪
長いお話にも挑戦したいッス
to にこらびっと
コメントありがとう
男ってツライ生き物なのですw
て、お前はもっとあせらんかいってツッコミが聞こえてきそうですww
1話完結 スバラシイです☆
イイ話でしょう?w
まあ、娘を嫁に出す気持ちはまだわからんけどねw
to じゅん
オイラも想像で書きましたが、たまにはこういうお話もイイでしょw
to みーちゃん
コメントありがとう~
昨日の腐女子の話とは別ですよ~w
基本的にオイラの小説は一話完結です。
そうそう、腐女子なんて言葉は最近だと思います。
存在は、あったんでしょうけどね。昔から(笑)
to ロッタちゃん
コラコラ、これは小説だよ小説(笑)
まぁ・・何年後か先にはリアルでこういう事があるんでしょうけど(笑)
to はるちゃん
チミはちゃんと旦那さんに春の風を送ったか?w
ハンドル名が『はるちゃん』だからって
かんけいないぞぉ~~w
素敵な事だなぁ と思った。
何年後か先 ひろむすとしゅーひにも そういう日がくるんだろうなw
おめでとうございます(*^Д^*)
娘を手放す父親のキモチ・・・・。そして博愛を知った同僚のお話・・・。
胸が熱くなりました。
私も、春の風を運べるような女性になりたいものです☆
とても。。。「切ない」印象を受けました・・・。 そして・・・ 今流行り!?の「できちゃった婚」っぽくなくて
なんか。。。すごく「純」ですね・・・。 今。。。とても「不純」なものが多いですから~~~・・・ね(汗汗)
ところで・・・ 前回の「腐女子」のお話とは・・・ 全く関連性がない「お話」って言うことで いいんですよ
ねっ?? これだけの文字数で。。。 この内容とは・・・ とても参考になりましたっ!!
ついでに書き加えますが。。。 「腐女子」と言うコトバは・・・ 割と最近のコトバ??ではないでしょー
か?? 少なくとも。。。 あたしが学生の頃には・・・ そんなコトバ・・・なかったよーな。。。??です。
ちょい・・おとうさんの・・・気持ちになってしまった・・・