Nicotto Town



月夜のできごと

タクヤのバカー。
と大きな声を出して彼のマンションを飛び出してしまった。
勢いに任せてたので、財布をもっていない。

行くあてもなく、歩いていたら公園が見えてきた。
行った事ない公園だったし、もうあたりは夜だったけどしょうがない。

幸い今日は満月で、月明かりで影ができるほどだ。
とりあえず、歩きつかれたからベンチに座ろう。

公園には誰もいなかった。
はぁ、しかし冷静になったら、なんで飛び出しちゃったんだろう。
よくよく考えたら、タクヤ悪いわけじゃない。

ワタシが勝手にやきもちを焼いているだけだ。
昔の彼女の写真や手紙に嫉妬している。

でも、嫌なものは嫌なの。
昔のオンナじゃなくてワタシを見てほしいの。
関係ないよ、今はキミが一番さと言ってくれてるけど。
頭でわかってても、感情が許さないの。

『やぁ、お嬢さん。お散歩ですか?』

いきなり、声をかけられてものすごくびっくりした。
声の方をみると、年のころは30ぐらいの背の高い男性が立っていた。

『ハハハ、突然に声をかけて失敬。こんな時間に、こんな公園に人がいるのでね』

と優しい声で語りはじめたその男性は、にこやかな笑顔で続けた。
たしかに、声色はやさしく笑顔なのだが妙に違和感を感じた。
まるで、人形の笑顔のよう。

『月明かりの下の散歩は気持ちがいいですよね。ボクもよくしますよ』

人形の笑顔をもつ男性は独り言のように、話は続けた。
ワタシに向かって話しているのかどうかよくわからない。
話しているのに顔はあさっての方向をむいている。

『でもね、あまり満月の光をたくさん浴びてはいけませんよ?』

『そ・・そうなんですか?』

おもわず、返答してしまった。

返答した後にものすごい後悔の念が体を駆け抜けた。
違和感が増加する。
人外のモノと意識を共有させらたような感じ。

『ハハハ、そうですよ。満月の光を浴びすぎますとね、精神に支障がおきますよ。平たくいうと気が狂うんでしょうね』

そういいながら、ギギギと人形の顔をゆっくりこちらにむける。
月明かりに照らされて顔がよくみえた。
違和感の理由がはっきりする。笑っているはずなのに眼だけは笑っていないのだ。

『この、ボクのようにね』

ニィィ・・・と笑う人形の顔。
何者かに心臓をわしづかみされたような感じ。ワタシの口からヒッと小さく声が漏れた。

『だから、お嬢さんは早く家にお帰りなさい』

そういうと、男はまた顔をあさっての方向にむけて、のろのろと歩き出した。
ワタシの前を通り過ぎ、反対側の出口に向かうようだ。

ズズズ・・・ズズズ・・・・

男があるくと、何かが引っ張られる音がする。
どうやら、男性が何かを無造作に引いている。
暗闇から月明かりのある明るいところまで出たモノをみて絶句した。

頭から血を流して、顔が真っ赤に染まった若い男だ。

人形の男性がズルズルとひっぱってもピクリとも動かない。
悲鳴をあげようとしたそのとき

『あぁ、これですか?これはね、ボクの妻にちょっかいを出した蟲ですよ。バットを使って成敗しましてね』

悲鳴が消えてが足の震えに変わる。

『ですから、この蟲をこれから捨てに行くのですよ』

人形の男性はそのままズルズルと男をひきづっていき、そのまま闇に溶けていった。
ワタシは立っていることは出来ずにその場に座り込んでしまった。

どれくらいその場にいたのだろう。

『こんなところにいたのか!心配したぞ』

見上げると、タクヤの顔がそこにあった。

『どうしたんだ?こんな所に座って・・・、ゴメンな、お前の気持ちもかんがえなくて。写真や手紙は処分したよ、だから一緒に帰ろう?』

優しい笑顔がそこにあった。

あぁ、そうだった。
そんな理由で飛び出したんだ。

うん。一緒に帰ろう。ここにはあまり居たくない。
あまり、満月の光はあびてはいけないと思うの。

大好きなタクヤを蟲と思ってしまうかもしれないから。

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2010/10/05 10:00
to オール
コメント感謝です。
初めて、ホラーっぽいものを書きました。
いや~難しいですね。もう少し恐怖心を煽るようにしたかったんですが・・・。

ま、昔から満月は人を狂わすっていいますので
皆様もお気をつけあれw
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2010/10/05 00:37
最初恋愛物かと思っていたら、
いきなり不意打ちをくらってしまった。
気持ちわるいが、俺としては、そちらの人形のような男に興味が…
今度、そちらの背景も書いて^^
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2010/10/04 22:01
こんばんは^^
ブログ広場から小説を読みに来て頂いてありがとうございました(_ _、)
こちらにコメントさせていただきますね。

そう言って頂けて、とても嬉しいですv

進行はそんなに早くは進まないと思いますが、それでも良かったら。
是非とも続編を書いてみますので、お付き合いくださいv
しゅーひさんの空いた時間で、読みに来て頂けたらと思います♪
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2010/10/04 12:27
口元を歪めるような笑みが貼りついた顔 
でも決して目は笑っていない…
想像しただけで 背筋が寒くなりました~

「蟲」という漢字も なんだか不気味ですね
もしも「虫」なら あまり怖くないw

満月の光は 浴びすぎてはいけないな と思いましたw
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2010/10/04 11:57
ぎゃぁあーww
夜遅くの一人の公園 絶対行かなーいw こあいぃぃーww

大好きなタクヤを蟲と思ってしまうかもしれないって・・・
そっちの方が 恐かったりして?w




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