Nicotto Town



【小説】紫翼のジーナ~4~

『紫翼のジーナ』2-②話
原案:はじめあき
作者:しゅーひ

リンは大声をあげ、大きな瞳でじっとジーナを睨んだ。

しかし、とうのジーナはちらっとリンの方に顔を向け片方の眉を少しだけあげて

「なんだ?メス。うるさいぞ?」
とあしらった。

「きぃぃぃーこのぶわかぁー!なんなのアンタぁぁあ」
ジタバタと暴れるリンだったが、ジーナは全く関心がないようである。

「オマエのような下等種族の名前なぞどうでもいい。とにかく俺が生き残ってるってことは俺が戦いに勝ったって事だな。アイツが雷を打ってきた当たりからの記憶が曖昧だ。おい!男、しっかり教えろ」
「ジーナと言ったか。まぁ落ち着きなさい。私も詳しくは判らない。リンを探しに湖の行ったら二人が倒れていたのだ。だからつれて帰ったにすぎない」
「俺と戦っていたメニア族はどうした?」
「さあ、しらないな。君とリン以外の人はいなかったからな」

ふうむと、ジーナは腕を組んで考え事をしている。クロストはそんなジーナに話しかけた。

「ところで、君の両翼をちょっと開いてくれないか?」

唐突に言われたジーナはすこし首をかたむけたが、素直に広げた
「ふふ、よくみろ俺様のすばらしい翼をな」
そういうと、ジーナの背中から紫色の美しい翼はバッと開いた。

「うわぁ翼がでてきたー」とリンは目を丸くした。そういえばさっきまでジーナの背中には翼が無かった。

「翼人族の翼は出し入れが自由なんだよ。普段は翼は邪魔だからな。それに、別に翼があっても飛べるわけではないのだ」
クロストはリンにそういうと、ジーナに向かって語りかけた

「ふむ、やはり片翼だな。昨日の戦いで左の核羽がやられたようだな」
そういわれて、初めてジーナは自分の左の翼が無いことに気がついた。

「うぉ?俺様の左翼がなくなってる!あの時やられたからか!え?なんで?どうしよう・・いつもは少し傷ついてもすぐ元にもどるのに・・・なんで・・・なんで俺の翼が・・」

左翼がないことにショックを受けていきなり震えだすジーナ。さっきまでの傲慢な態度とはうって変わり、母鳥に見放された小鳥のように自分の肩を抱いて震えている。

「そんな・・・翼がなくなったら・・・俺の存在価値が・・・・なんで・・どうすれば・・・」

震えるジーナの肩にやさしく手をおいてクロストが語り始めた
「心配するな。核羽がやられたにすぎない。翼人族の翼は力の象徴だ、翼が再生するまでは力は使えないが再生すればまた元にもどるだろう。」
「そ・・そうなのか・・・?」
「ジーナ、君はいくつになった?親からそのような話をきいてないのか?」

その時、ジーナは少し引きつった顔になった。が、すぐ元にもどりまた邪悪な顔になって言い放つ。

「は!俺に親はいらねぇ。18年生きてきたが、親に頼ることは何もねぇ!」

しばらく、ジーナの碧眼をみていたクロストだが、すっと立ち上がった。
「そうか、まぁそこまで元気なら問題はないだろう。とにかく養生もかねて君は家に帰りなさい」
「は!言われなくてもそうする。だが、俺はものすごく腹がへっている。何か食うものはないのか?」

なんて自分勝手なんだろうとリンは改めて感じた。

************************************************

スープをおかわりした上に木の実蒸しパンを3つも食べつくしたのに

「もっと味のあるものはないのか?」

と文句まで言い放ったジーナをあきれた顔でリンはみた。
ここまで傍若無人な人間に出会ったことがないからだ。
リンがその横柄な態度に我慢しているのはひとえに命をすくってもらった(であろう)からである。
だが、この他人を見下す事に快感をおぼえているであろう男に礼をするのがどうにも癪だったのでリンは未だにお礼をしていないのだ。

この我慢がお礼がわりよね、とリンは密かに考えていた。

食後にしばらく空をながめていたジーナだったが、おもむろに席から立ち上がった。

「世話になった」
と一言だけ言って、出口に向かった。

クロストは特に何をいうでもなく、席についたまま食後の飲み物マローを飲んでいた。
リンはとりあえず、出口まで見送りをした。

ジーナが戸をあけてでていこうとする時、くるっとリンの方に向いた。
綺麗な碧眼がリンの顔を捉える。

「メス、オマエ名前はなんだっけ?」
「何回も言ってるでしょう?リンよ リ・ン !」
「そうか、リンか、オマエらしい名前だな」

そう言うと、そのままジーナは家を出て行った。
歩いていくその姿が見えなくなるまで、リンは戸口に立っていた。

翼があるのに飛べないんだと、リンはクロストの言った言葉を思い出していた。
そして、お師匠は翼人族について詳しいんだなと漠然と考えていた。

アバター
2010/11/10 22:55
執筆ペースが速いですね。
お疲れさまです。

羽はリンが知らないうちにもってっちゃったりしてるのかしら。
ここからが、改めて物語のはじまりですね。
アバター
2010/11/10 22:48
待ってました~(ノ≧▽≦)ノ
だんだん核心に迫ってきたねえwww
ジーナ、意外と繊細!?
リンに初めて名前聞いたね(●´艸`)
師匠は、何故こんなに詳しいの!?
もっと知りたいのじゃ~~~~www
ところで、はじめさん?かな?と合作(?)ってすごいねえ☆

アバター
2010/11/10 22:42
クロストって ただの師匠じゃないなw
・・で ジーナも 過去に 何かあったと・・みたw

続きが 楽しみ~♪ わくわくww
アバター
2010/11/10 22:29
ジ―ナの傍若無人な態度は、プロテクト機能なのかな?
強がっている故の事だとしたら、ちょっと可愛い気もしてきたw

第1話のラストで、物陰から見ていて「困ったことになったな」
と言った怪しい男の正体は?
・・・って、それをここで聞いちゃダメよね、やっぱりw
続きを楽しみに待ってます♪
アバター
2010/11/10 22:03
2話終了お疲れ様ですww
クロストさん、妖しいですねw
強気なオレ様の態度に隠れる、ちょっとした弱さと繊細さが…この後も楽しみですw
アバター
2010/11/10 21:53
ジーナの2話が終了です。

クロストさん怪しいですね。

次回(3話)は、さらに説明くさいお話になります。
はっはっは~とw




Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.