【小説】紫翼のジーナ~6~
- カテゴリ:自作小説
- 2010/11/14 16:49:58
『紫翼のジーナ』3-②話
原案:はじめあき
作者:しゅーひ
レイオトール先生に別れを告げて家に戻ったジーナは、早速旅支度を始めた。
再度、シアナの湖まで行かないといけない。
片翼がなくなってすでに4日。
一向に左翼が回復する気配がない。このままでは将来への約束された道をはずれてしまう。
くそっ、こんなことならあんな所にいかなければ良かった。
シアナの湖に行ったのは、ほんの気まぐれだった。
〈水〉の属性をもつ俺は、やはり川や湖といった水辺の近くが落ち着くし、力を感じる。
あの時は、何かにひきよせられる感覚に身をまかせていたら、シアナの湖にたどりついた。
そうしたら、一人のメス(確か、リンとか言ったか)に野郎が3人詰め寄ってるのがみえた。
メスがどうなろうと知ったことではなかったが、退屈しのぎに男どもと遊んでやろうと思ったのだ。
それが、なんてザマだ。
遊ぶつもりが核羽までやられて、しかも最後にどうなったのかさっぱり記憶にない。
どうも、あのリンって女が光っていたというのが、かすかに目の奥にかがり火のように残っている。
しかも、あのメニア族の男。魔法使いなんてレベルじゃない。魔導士クラスだ。
詠唱魔法でも、俺のスピードについてきていたからな。
くそ!次に会ったら絶対に殺す。
そのためにも、あの湖の近くに落ちているはずの俺の核羽を取りにいかなくてはならない。
他の誰かに拾われるわけにはいかないんだ。
簡単な仕度をして、自分の部屋を後にした。
この前は歩きだったが、今回は急ぎだ。少し値は張るがエアー・スクーターを借りてこよう。
大通りにでると4、5人のグループが見えた。その中心にいる奴と目が合い、しまったと思った。
中心にいる目の少し釣りあがったイケすかない顔の男が叫んだ。
「おんや~?学院ナンバーワンと言われた男が何をそんなに急いでるんだぁ~?」
「は!うるせぇーぞ?ホルン。つるまないと何もで出来ない奴が吼えるな」
ジーナの挑発にホルンと言われた男はニヤニヤしながら答えた。
「ヒヒヒ・・・そういきり立つなよぉ~ジーナ。知ってるんだぜ?今お前、片翼が無いんだろう?」
「なに?!」
なぜそれを、こんな奴が知ってるんだ。
ホルンはいやらしい顔を更にこちらにむけながら続けた。
「どのくらい弱っちくなったのか、この俺が確かめてやるよ」
ホルンは自分の翼を勢い良く出し、戦闘態勢をとった。
その羽の色は鮮血のような紅蓮の赤。〈火〉の属性であることが翼を見ただけで理解できる。
「お前たちは手をだすなよ?」
取り巻きの者にそういうと一歩づつジーナに近づくホルン。
「は!こんな所でやりあうつもりか?私闘は学院で禁じられてるのを知らないワケじゃないだろうが」
「戦う前から言い訳ブっこいてんなよ?ジーナぁぁぁああ!」
ホルンの足元から炎が立ちあがり、その炎が揺らいだかと思うと四本の足をもつ猛獣の姿に変形していく。
まるで、全身に火を纏うトラのようだ。
そう、ホルンは炎を具現化して攻撃できる能力をもっている。
「噛み切れ!炎虎(えんこ)!」
炎の虎が一直線に向かってくる。
ジーナも紫翼を出現させて対抗する。
「は!てめぇの攻撃は俺には効かないって何度やったらわかるんだよ」
ジーナの力は〈火〉と〈水〉であり、実際のところ能力値もホルンのそれを大きく上回っている。
いつものように、〈火〉の力で攻撃を相殺させ、〈水〉の力でぶちのめす。片翼が無くても、ジーナは楽勝だなと心で思った。
「ファイヤー・ウォール」
炎の壁で攻撃を受け止めようと〈火〉の力をだそうとした。
だが、炎の壁がジーナの意思とは違い、細い柱のような形で出現した。
しかもまったく検討違いな場所に。
当然、防御にすらならなかった。
ジーナは、何が起こったのか訳もわからずに、炎虎の攻撃をまともに食らったのだ。
ものすごい衝撃をうけて、ジーナは後ろの壁まで飛ばされた。背中にひどい激痛が走る。
マズイ。このまま第二の攻撃をされても避けることすらできない。やられる。
しかし、いくら待っても第二波はこなかった。
すでに、炎虎の姿はなくホルンがニヤニヤしながら近づいてきた。
「あははは、やっぱりそうか。実際に戦うまでは信じられなかったがな。大神官様のいう事は本当だったな」
何を言ってるんだ?コイツ
「おい、ジーナ。戦いはこれで終わりだ。お前は俺に負けた。いいか?もうお前は俺に勝てない!」
そういうとホルンはジーナの腹を思いっきり蹴った。
ジーナは目の前が暗くなっていくのを感じた。
「ヒヒ。ざまあみろ。これでお前はおしまいだ。散々偉そうにしやがっていい気味だ。オイ、この負け犬をつれていけ」
ホルンはひゃっひゃっと下衆な笑いをしながらその場を立ち去った。
後には取り巻きの者がジーナを担いでホルンの後をついていった。
エア・スクーター。欲しいなあ…(´艸`)
ジ―ナの「短絡的な部分と言葉が乱暴だ」という【性質】の特徴…
そこは似て非なるもの、である事がちゃんと伝わってきますね~
新キャラ登場で、ますます続きが楽しみです♪
ま、それは今までのジーナの性格だから、こんな奴らばかり周囲に現れてしまうんでしょうww
だんだん奥が深くなっていったぞ・・・先が楽しみですww
なにやら、また新キャラ登場ですって。
しかも、ジーナよりも性格悪そうですね。
翼人族って性格悪いんでしょうか?
話はすんげー中途半端ですが、4話に続きます