【小説】紫翼のジーナ~7~
- カテゴリ:自作小説
- 2010/11/16 10:41:11
『紫翼のジーナ』4-①話
原案:はじめあき
作者:しゅーひ
その広大な建物は、周りよりも高台に建っており堂々たる構えをもっており、それだけで人々に威厳を振りかざすのに十分である。
門をくぐると3つの屋根も壁もすべて白で統一された建物が見える。
真ん中の一番大きな円柱の建物が中央宮と呼ばれるもの。
向かって右手は祭司堂、左手は審判堂である。
この3つの建物は前方からみると独立しているように見えるが、奥ではすべてが繋がっている。
中には神官とよばれる者が100名ほど従事している。
名前は神官であるがようするに官吏であり、翼人族の国を政治的にも宗教的にも取りまとめている。
つまり、神官とはこの国の指導的、支配的役割を担う存在なのである。
この神官の頂点に立つものを祭主といい、祭主の補佐として大神官が3名いる。
しかしながら、祭主は飾りであり政(まつりごと)の決定権は大神官が執り行なっている。
その大神官の一人であるモルトラ大神官は広く薄暗い室内で、教台のような机に付属する椅子に座り本をよんでいる。
全身を白いローブのようなものでまとい、初老といえるような容貌であり温和そうな顔には髭をたくわえている。
しかし、眼鏡の奥の眼光は鋭さを帯び大神官の職務にふさわしいと言えよう。
モルトラ大神官の前方に一人の男が横割っていた。
先ほどホルンに気絶させられたジーナである。
部屋にはこの二人以外に四隅に近衛兵のような鎧に身をまとった男達が直立不動しており、モルトラとジーナから離れたところにホルンが足を組み腕を頭の後ろにしながら座っていた。
部屋の中は静寂が支配し時より本のページをめくる乾いた紙のすれる音だけが聞こえる。
ふいに本をパタンと閉める音が部屋の中に響いた。
「ふむ、そろそろじゃの」
モルトラ大神官は眼鏡をカチャリと直しながらつぶやいた。
すると、ジーナの体がぴくっと動き、ジーナはゆっくりと目をさました。
そのまま、ぬぼーっと上半身だけ起こし辺りをみまわしたがここが何処で、自分が何故ここにいるのかも判らなかった。
なんだ?ここは。俺は何をしていた?そうだ、ホルンの奴に足蹴にされたんだ。あの野郎、次は容赦しねぇ。
急激に冴えてくる頭に怒りの感情が湧き上がる。
そうだ!と立ち上がろうとした時に、落ち着いた低い声が響いた。
「さて、ワシの事は覚えているかのぉ?トロワブル」
いきなり、ファミリーネームで呼ばれたジーナは声の方に向き、初めて自分以外の人間がいることに気がついた。
「モルトラ・・・・大神官・・・様」
「そうじゃ。お主の最大の支援者であるモルトラだ」
ジーナは慌てて直立し、頭をさげて挨拶をした。
「お久しぶりです。大神官様」
「ふむ、そう硬い挨拶は抜きとしよう。可愛い子よ」
やさしい声がジーナを包み込んだ。しかし、当のジーナは頭をさげたまま苦虫を噛み砕いたような顔をしていた。
しばらく、音の無い歯軋りをした後、能面のような顔色になりモルトラ大神官に顔を向けた。
「ジーナよ。ここが何処だかわかるかね?」とファーストネームで優しく問いかけるモルトラに対し
「いえ、わかりません」と淡々と答えるジーナ。
「ここは審判堂だ。本来は罪人を裁くための場所であり、この部屋はその一つじゃよ」
「俺に・・・ワタクシに裁かれる理由は無いと思われます」
「ふぉふぉふぉ!お主が罪を犯したとは言ってはおらん。ただ、ホルンに確かめさせた事についてちょっとな・・」
「おっしゃってる意味がわかりません」
ホルンをよこしたのはモルトラのジジィだったのか。とジーナは心で舌打ちをした。
「ジーナよ。お主核羽を一つ無くしておるな。その結果お主の力は半減しておる。さらに〈水〉の核羽をなくしておるので力のコントロールも出来ておらん」
このジジィ・・それを確かめる為に街中で戦闘を許可したのか。
「これでは、神官の道も絶たれてしまうのぉ・・・」
「なっ・・!」
ジーナは言葉に詰まった。神官になるために色々なものをかなぐり捨てて、したくも無い努力をしてきたのに。
能面の顔色を保っていたジーナだったが、苦渋の色が浮かび上がるのが判った。
そんなジーナの顔色を知ってか、知らずかモルトラ大神官がゆっくりと続けた。
「まぁ、道が無いわけではないがの・・・」
「大神官様。是非、お教えください!」
思わず声をあげてしまうジーナであった。
救いの道があるならばその道を選択するしか、ジーナにはその道しか残っていないのだ。
色々と、ジーナと大神官確執ありそうですな。
楽しみだww
学習、学習ってしなくていいんかいっ ゞ( ̄∇ ̄;)ヲイヲイ
そうか、ジーナは神官を目指してたんですね。
何をいっぱい捨てて、なくしてきたんだろうね><
いろんな人の登場で 学習する余裕もないまま(笑)
3話続けて読んだw
ジーナ なんて勝気な奴?と思ったんだけど
やっぱり どこか怪しげで?w
あー、気になるw
ジーナは どうなっちゃうの?w
思わず声あげちゃって❤(←…自分で書いて、怪しい表現だと気がついたw)
大神官様の知ってるジーナ君は、意外な一面を持ってそうだが。。。
モルトラ大神官様の執務室(そんなのあるのかな?^^;)
ではなくて、審判堂の一室で~っていうのが・・・
今後どうなるの?!って気になる要素を増してるw
ジ―ナは現在に至るまでに何か色々とあったようで
その辺りもこれから、少しずつ物語に絡んでくるのかな~
と楽しみにしています♪
今回も①、②の構成です。
神官?祭司?
なんか変な役職がでてきちゃいましたね。
ま、覚えなくてもいいことですw