【小説】紫翼のジーナ~8~
- カテゴリ:自作小説
- 2010/11/17 19:54:10
『紫翼のジーナ』4-②話
原案:はじめあき
作者:しゅーひ
必死の形相でモルトラ大神官を凝視するジーナ。
それに対しあくまでもゆったりした様子のモルトラが語りかける。
「まぁ、まず自分の核羽を取り戻す事が先決じゃな。もし、それが叶わないのであれば、自分の力を顕示する必要がある」
「・・・どういう事でしょうか?」
「核羽が見つかればよし。見つからなければお主の左翼の力は蘇る事はないであろう。失われた力の戻し方は判明しておらんからな。では、その力がなくとも神官として十分な資格がある事を証明する必要がある」
「どのように証明すればよいのですか?」
「お主の左翼を打ち抜いた相手を倒さねばならぬのぉ」
このジジィ。何を言っている? 何故、”打ち抜かれた”と知っているんだ?
「ジーナよ。お主も知ってのとおり、神官の条件は知識と力だ。学院での成績は申し分ないと聞いておる。力も今までなら申し分なかったのじゃが・・・」
ここでモルトラは座りながら、グっと顔をジーナの方に近づけて、鋭い眼光を帯びた目線を向けた。
「力の証明・・・・・・出来ないとは言わせぬぞ?」
さすがは大神官といった迫力に、ジーナは一言もしゃべる事が出来なかった。審判堂という場所だからかもしれない。
モルトラはゆっくり立ち上がりジーナを見下すように更にくわえた。
「父親のようにはなりたくあるまい?トロワブル。期待しているのだぞ?」
踵を返すと足音も立てずに大神官は退室した。その後を4人の衛兵が続く。
ホルンの姿もすでに無く、結局ジーナは同じ部屋にホルンがいたことすら気がつかなかった。
ジーナは一人部屋に残りこぶしを強く握り歯を食いしばっていた。
「オヤジと・・・あんな奴と・・・一緒にするな・・」
搾り出すように食いしばった歯の隙間から声がもれる。
そして、ぐゎあと大口をあけて、ジーナは吼えた。
「一緒にするなあああああああ!」
だれも居ない部屋にジーナの声だけがこだました。
怒りとも悲哀とも言えない声だけが鳴り響いた。
モルトラ大神官が自室に戻る廊下をゆっくり歩いていると、前方に目の釣りあがった若者が待ち構えている。
「大神官様、話が違うじゃねーの」
敬意という要素のまるで無いしゃべり方をするニヤついた顔だ。
ヘビにも似たその顔にやれやれといった感じでモルトラが答えた。
「さかしいぞホルン。オマエは与えられた事を遂行しろ」
「なんだと?ジーナを追い込めば、俺をジーナの代わりに神官に推すという約束じゃないか」
「オマエの力なぞ、ジーナのそれに遠く及ばない。今回勝てたのはジーナが力のコントロールの仕方がうまくいかなかったに過ぎない。つまりオマエの勝利は偶然だ」
「んだと?話が違うぞ!」
「うるさいぞ?」
ジロリとモルトラがホルンをひと睨みをすると、ホルンは「かはっ!」といきなり顔色を真っ青にして倒れこんだ。
「くっ!かはっ!ごふっ!」と苦しそうな呼吸をしていたが、しばらくすると「ひゅー」という声と共に通常の呼吸に戻った。
しかし、大分苦しかったのか未だに四つんばいになり肩でぜぇーぜぇーと息をしていた。
「オマエには武装宮司としての職を用意してある。余計な事をするな」
モルトラはホルンに冷たく言い放った。
武装宮司とは神官を補佐する役目であり、先ほどの4人の従者もその武装宮司である。
モルトラはまた、静かに自室に向かった。背中には若葉のような緑の翼が見える。
そんな翼を恨めしそうに見つめてホルンはつぶやいた
「〈風〉の上位魔法の空気を操られると何もできねえ。やっぱり大神官ともなるとおっかないねぇ」
そのまま立ち上がりモルトラとは反対方向に歩き出した。
「ま、でも、俺には俺のやり方ってのがあるからな」
いやらしい顔のまま、ホルンはヒヒヒと笑った。
廊下には元の静寂が戻った。
一陣の風が誰もいない廊下を拭きぬけた。
風は自室前でドアノブに手をかけたモルトラにも届いた。
ふっと顔をあげてつぶやいた。
「これで、駒が動き出す」
苦笑とも失笑とも区別がつかない微妙な笑みの大神官はゆっくりと自室の中に消えていった。
次が早く読みたくなってきちゃうじゃないw
もちろんジーナのことは 気になるけど
ホルンやモルトラ大神官も 気になっちゃうわけよねぇw
はやくぅーw 次、次~(笑)
駒って??
ジ―ナ父には昔、何があったの~???
↑
おもいっきり作者の思うツボ状態な私ですww
すっごい謎が目白押しなんだけどーーwwww
さくさくUP 期待してますww