【小説】紫翼のジーナ~15~
- カテゴリ:自作小説
- 2010/12/07 11:04:03
『紫翼のジーナ』6-②話
原案:はじめあき
作者:しゅーひ
平屋つくりのクロストの家は玄関と居間が一体で入って右手に炊事場があり、左手から奥に廊下がある。
廊下の突き当たりがクロストの部屋、左手が薬草を加工する工房、右手がリンの寝室兼自室となっている。
ベッドにリンをそっと寝かしたジーナは
「メスっていうのは軽いんだな」とつぶやき寝室を出た。
そのまま居間に進むと、クロストが湯気の出ているカップを二つ持ち、一つは自分に、もう一つを空いてる席の前に置いた。
「ご苦労だったな。まあ座って飲みなさい」
とクロストはジーナに勧める。
席につき、飲み物の中身をみると赤とも茶色ともつかない飲み物がカップになみなみ注いであった。
「これは、クスカの実を干して作るマローという薬草茶だ。水蜜糖(ついみつとう)をお好みで入れて飲む。私はこのまま飲むのが好きだがね」
そんな事を言われたら何も入れずに飲んでやろうと、ジーナは一口、マローを飲んだ。
「ぶべぇ・・・なんだ?この味」
「はっはっは、だから言っただろう?水蜜糖を入れろ、と」
「苦いというか、渋いというか、なんとも言えない味だ」
「大人になると、旨いと感じるんだ」
ジーナは水蜜糖をどばどば入れて、ぐるぐるとかき混ぜながら「ジアナ族は変なものを飲むなあ」とぶつぶつと呟いた。
チビチビ飲みながら、それでもカップの半分ぐらいまでジーナがマローを飲み終えた頃、クロストが話し出した。
「ジーナ、キミが色々聞きたいことがあってウズウズしているのは判っているが、まずは私の話を聞いてほしい」
確かに、ジーナは聞きたいことが山ほどあったが、めずらしくグっとこらえて頷いた。
「まず、私はジアナ族ではない。キミと同じ翼人族だ。翼はとうの昔に両方とも無くしてしまったがね」
「え?!そ、それは・・」
「証明することは出来ない。先ほども言ったが両方とも翼が、核羽がないからな。だから、核羽を失っているキミの気持ちは痛いほど判る」
ジーナは片翼を失って、改めて自分にとって翼がどれだけ大切なのかを実感していた。自分の持つ能力が発現しないという物理的な理由はもちろん、精神的に拠り所が無くなるような不安定な気分になる。
片方でもそうなのに、クロストは両翼と言った。その当時の落胆は計り知れないものである。
過去の事とは言え、同族の不幸に少なからず同情したジーナは、「そ、そうか!ジアナ族じゃなくても、大人になればマローが旨くなるんだな」とトンチンカンな受け答えをした。
そんな答えを聞いたクロストは少しだけ目を細めた。
「ふふ、ジーナ。キミの心根は素直でイイ子なのだな。単に人との付き合い方を知らないようだ。翼の事もそうだが、基本的なコミュニケーションを取るのが極端にヘタクソなんだな」
フォローにまったくなっていない事を平然と言ってのけた。
つまるところ翼人族とは他との共有能力が非常に低い種族と言えよう。しかしながら、ジーナもクロストもその事に対して自覚は無いに等しかった。
「さて、ジーナ。予想はついているだろうが、キミの左の核羽は他部族であるリンが吸収してしまった。つまり、核羽は復活はしない」
クロストはジーナに向けてきっぱりと言い切った。
「核羽を取り込んだ者の心臓を食らうと復活すると聞いたぞ」
「それは言い伝えに過ぎない。・・・・・・・・・少なくとも私の核羽は復活しなかった・・・・・・」
「え!?それは・・・」
ジーナは思った。それは、クロストが核羽を取り込んだ者の心臓を食らったという意味だと。
「昔の話だ・・・」
クロストは影を落とすような横顔をになった。これ以上の問いかけはしてないけない雰囲気であったので、ジーナは黙ってクロストの次の言葉を待った。
「だから、リンの心臓を食ってもキミの核羽は復活はしない」
横を向いたままクロストは噛み締めるようにつぶやいた。そして、ゆっくりジーナの方に向いて
「まあ、もし出来たとしても、可愛い弟子を傷つけるような輩は私が許さないがね」
と冗談ぽく言った。しかし、ジーナはクロストが本気だしたら、それはもうひどい目に合いそうだと確信していた。
クロスト!!!只の薬草収集家じゃなかったのか!!!ヾ(-д-;)
負けん気なジーナ。紅潮?したジーナ。
どれもかわイイですね~。
続き楽しみにしております。
ジーナがリンと穏やかに話が出来る日はまだまだ先かしら。
続きが 気になって気になって いろいろ妄想しちゃってますw
ジーナがクロストに同情して 言った言葉
ちょっと かわいいねw
続き 楽しみにまってまーすw
なんて事でしょ~!
今回はかなり核心に迫る内容なんじゃない?w
しかし、内容が確信に触れてきましたね〜〜楽しみです。
師匠、ほんとに食べたのか・・・? それも気になる所ですがww
続き、待ってますねーーww