昔々、・・・・と言っても僕が小学校の頃だけど。
学校の授業でよく「未来」と言うテーマで絵を描かされた、
どんな絵を描いたか忘れたけどたぶんありきたりのものだったろう。
ビルの谷間を縫うように走るエアーカ～・クリーンな空気・体にピッタリとしたスーツ、
そして何と言っても人口知能を持っロボットだろう。
今・・・私の目の前にはひとつの大きな箱がある、
ついに念願のロボットが届いたのだ。
順番待ちをしてようやく買った、チョツトした買い物である。
僕が買ったのは割にマニアックな人気を持つ人間型ロボットで、
性別は男女あるそうだが僕は当然女の子を選んだ。
メーカーの人が午後から転送システムで部屋に送り込んできた、
何とも便利な時代になったものだ。
最初に見た印象は、・・・・・でかい。
まるで棺桶かと思うような箱である、箱は開けると自然に溶けてなくなる。
リサイクルの原理で作られている梱包システムなのだ。
付属品が山のように出て来た。
説明書は下敷きのように薄いモニターである、早速ボタンにタッチする。
映像は淡々と進んで行く、
それに従って僕はアダプターに電源を差し込みロボットのセットアップを進めていく。
軌道。
音楽が流れ出す、胸のウィンドウに映像が浮かび上がり、
メーカーからのメッセージが流れる。
「ガイダンス」が始まったのだ、
ガイダンスはロボットが同調する形で３０分ほど続く。
そのガイダンスの手順通りに使用方法を学び、設定をしていくのだ。
おおまかなところはコンピューターと同じだけど、パーソナルな設定はユニークだ。
僕は「キーワードを入力」というのを試してみた。
「北極」「ハンバーグ」「椿」「はじらい」などと言う言葉を、
画面上にずらりと並んだキーワードの中から直感で選んでいく。
キーワードの並びはランダムだ。
ランダムな言葉の群れの中から、さらにランダムに選んで音声入力していく。
「空」とか「魚」とかの簡単な言葉から、
「カンダム」「グリフォンス」などと言う物まである。
「編み物」「西洋弟切草」とか言う物もある、心理テストのようで中々楽しい。
最後に「名前」を選ぶ、
キーワードから探してもいいが自分勝手につけることも出来る。
僕は「うらら」と命名した、昔の彼女の名前である。
「決定 !! 」
{決定デスネ、初期設定ニヨリ個性ノ形成ガサレマシタ。
名前ハ「うらら」最終決定サレマスカ・・・・}
僕は「決定」のボタンを押した、
すると数秒後にモーターの駆動する音がしてうららがびくりと動き出した。
回路の繫がる音があちこちからする、うららはまず首を動かした。
そして瞼を開いて目を開けた、そして僕を見てハッと飛び起きて。
いきなり壁際へ後ずさりした、ロボットとは思えない速さだった。
「は !! 」
「は ? 」
「は　じめました え　っ　と　その　うらら　いいます　ろしみそ」
大丈夫かょ・・・このロボット　? 。
「はぃ・・・旦那様」
「旦那様はやめましょう」
「それでは何と呼べばいいのでしよう」
「うーん…テツでいいゃ」
「ハィネわかりました・・・LFJF₣₱₱₤₢₂₃ₗₗ₦₲₳⢦⢑왉왂왒왑왶옭ꑧꑳꒂꑸꒌꑽ꒛꒓꒑꒢꒟꒟墘墓増墚墲墠墡墀墀塲墂」
お～～～～も、文字化けダ　！ 。
どうやら緊張のプログラムが組み込まれているらしい。
うーむ・・・・さすがだ。