✪調律師 (前)
- カテゴリ:30代以上
- 2012/01/19 19:11:45
私は調律師、依頼されたピアノのチューニングをいつもわずか一音だけ外しておく。
鍵盤中央のA音、客にはまったく聞き分けられないほどほんのわずかに。
仕事が終わると
「まぁ、新品になったみたい」
客は晴れやかな微笑みで私の手をとろうとする。
そして、ハッとします。
手袋をはずした私の右手には、人差し指と中指がありません。
私は腰をかがめ時計の針のようなお辞儀をすると、
道具かばんを提げて玄関を出て行きます。
事故に遭う前から、私の耳は評判だった。
音楽大学の発表会でそのピアノの調律があってなくて、
演奏途中にそのピアノを調律したことがきっかけでこの仕事に入っていきました。
幼い頃に指を失ったけど、
絶対音感を身につけている私はこの仕事が好きでした。
でもピアノを置く家は以前と比べると少なくなりましたが、
仕事が絶えることはありませんでした。
穏やかそうな容姿と確かな耳、
いつの間にか必要になるチューニングのおかげだったと言えます。
とある週末、紹介を受けて街外れの洋館を尋ねました。
その家は、まるで公園のように延々と庭が続き。
今まで見た事の無いような、不思議な形の家でした。
やっとたどり着いた玄関には、白髪の老婆が一人黙りこくって立っていました。
その老婆に案内されるまま廊下を進みゴブラン織りのじゅうたんの居間に入ると、
年季の入ったグランドピアノを指さしました。
私はうなづき、調律を始めました。
老婆は杖を突き、居間を出たり入ったりしています。
どうやらその老婆は、目が見えないようです。
30分ほど経ったでしようか私は振り向きその老婆に、
「終わりました」と声をかけました。
歩いていた老婆は立ち止まり、
「あなた、ご冗談でしょう ? 」とこたえました。
「ぜんぜん音が違っていますょ」
私は頬を打たれたような表情になり、
今度は慎重に、きわめて念入りに音合わせをしました。
鍵盤中央のA音もです、
「これでいかがでしょうか」
「お話のなりませんな」老婆は細い肩をすくめて言いました。
「腕のいい方と伺っていましたけど、どうやら何かの手違いがあったらしい。
ピアノはそのままにしてどうぞお帰りください、お金はお支払いしますから」
「でも」
私は真っ赤になって、
「音は全部あっていますょ」
「そういう問題じゃない、これじゃピアノが可哀そうだ。
あなたは本当のところ、ピアノがお好きじゃないようですね」
老婆は言いました。
私はその場から、後ろ髪を引かれる思いで離れました。
でしょーーーって自分で言うーーーー。
面白いです!!!
後半読むのが楽しみ^^
ドレ~~~みそ。
でもどうやら、老婆の意味する「音」は一般的に正しいと言われるドレミとは違うような・・・。
気になりますねぇー!
最初から持ってるもの。
それは懐かしい思い出。
気になります。
私はピアノ。
ひねりはなしで。
久しぶりの物語^^
とっっても楽しみだわ!!!
深夜の・・・楽しみwww
ストレートに行きますょ。
心はどんなに繕っても以心伝心、伝わりますもんね☆
また読んでね~~~。
後半に続く~~~~~。
ワンモア・・・。
好きは大切な始まりでし。
その通りでし、書いちゃいました~~~。
この老婆は何を言いたかったのだろう・・。
絶対音感のある、音に何の不満が。う~ん・・。
私には、どんな想いがピアノにあるのでしょう。
気になりますね。
ねね、この洋館は、あの洋館からインスピレーション受けたの?違うかな^^b
地味な仕事なんですね~~~。
後半はストレートでいくか変化球でいくか・・・・??? 。
ちょっと調律ってのに興味あるしねぇ、おばあさんの真意がすんごい気になるっ♬
続きが楽しみっ♬
調律師って憧れの職業です❤
ピアノがお好きじゃないっていうの重い言葉ですなー
どうなる「私」!!
久々に書いてみました~~~ん。
これから どんな 物語が続くのか 楽しみです
早く 続きが見た〜い