Nicotto Town


✪マークは作り話でし


夏の景色

以前に見た。
ロウソクの炎を見た時、そう思った。
懐かしいと同時に胸がいっぱいになる、そんな炎だった。
わたしが、わたしでいる以前。
ずっとずっと昔。
同じようにその炎を見て、同じように感じていた。
お寺の本堂の中には、たくさんの人で混みあっていた。
四方を山で囲まれたこの場所は、
夏になると、とてつも暑くなる。
タオルを手にしたまま、何度も顔の汗をふいた。
日陰を探しながら歩く癖がついた。
地面に映る影が、濃くはっきりしている。
その暑さの中をたくさんの人たちが、
亡くなった人たちのためにロウソクに火を灯していた。
何百と揺れる炎。
時間の経過とともに溶けていく白いロウソク。
そこに書かれたいくつもの文字。
亡くなった人に家族の健康を願う言葉。
ありがとうと感謝する言葉。
亡くなった人の名前。
その炎を見ていると時間や生命といったものが、
一瞬のもののように思えた。
はかない、と思った。
苦しみも悲しみも楽しみも、
取るに足らないものなのかもしれない。
思いを言葉にしなくてすむ、
空間に流れる空気だけで呑み込んだ言葉がわかる。
抱いた思いを受け止めてくれる、
それだけであふれそうになった涙はかわいていく。
感じたこと考えたことは、そう、わからない。
だけど、どう感じたとしても私たちはここで生きている。
この風景が、もうすぐやって来る。
また、私は足をはこぶことだろう。

                 

アバター
2018/06/14 16:07
夏の景色ね、お盆、もう来月だわ。
生かされているって、改めてその守護に感謝。
毎日手を合わせているけれど、お盆の期間は
より近くに感じ、深い、よね。
アバター
2018/06/13 23:18
毎年この光景の中にわたしもいる。
ロウソクを灯しながら心で呟く
「今年も来ましたよ」手を合わす。
また来ます。
アバター
2018/06/13 22:56
・・・生命とは、情報の流れの中に生まれた結節点のようなものだ・・・
『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』



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