「水仙、知ってるでしょ?」私はうなずいた。
「じゃ、これは何?」私は首を横に振った。
「君子蘭ょ、綺麗でしょ。ヒガンバナ科なの、どことなく似てるでしょ」
そう言われればそうかも知れない、
といった程度だっだ細い首の上に赤い花が咲いている。
私は、とある文芸編集者である。
とある女性作家の担当を任され...
✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし
「水仙、知ってるでしょ?」私はうなずいた。
「じゃ、これは何?」私は首を横に振った。
「君子蘭ょ、綺麗でしょ。ヒガンバナ科なの、どことなく似てるでしょ」
そう言われればそうかも知れない、
といった程度だっだ細い首の上に赤い花が咲いている。
私は、とある文芸編集者である。
とある女性作家の担当を任され...
人込みで息苦しくなったら
言葉のとげが刺さったら
妙に寂しくて しぼみそうになったら
帰っておいで無理せずに
帰っておいで今すぐに
そんな君をいつだって 丸ごと包んであげるから
そんな君をいつだって 僕は待っててあげるから
私はもう半年も前から、同じ会社の彼に密かに恋心を抱いていた。
冷たいほど整った容姿、知的な声。
夏は麻、冬はカシミヤ混紡のスーツしか着ない彼。
当年32歳の東大出の独身貴族。
時々エレベーターの中で一緒になったりすると、
眼が合えばうっすらと口元にニヒルな微笑みを浮かべる。
それがまたウーマンキラー...
今日のお昼はいつものきっちゃ店、
いつもの席でいつものランチ。
ふっと隣は、どこぞの会社の事務員さんと上司様。
食事も終わりコーヒーを飲んでくつろいでいると、
そのお二人さんの会話が耳に飛び込んできた。
「ほんとうにぽかぽかな日ですねー、風は強いけど」
「うん、小春日和だね」
・・・・・上司様それは...
補修用の部品の品番を調べるために、
一年前の手帳を見る。
去年の今日・・・駅構内の階段の補修工事をしていた、
昼間は人が多すぎるので人波を避けながらの工事だった。
私は階段の上から転げ落ちてくる、
二個のレモンに出くわした。
拾いあげると上から声が聞こえた、
おばあさんがレモンを山盛りに入った大きな...