青いチェックのテーブルクロス。
ひんやりとしたグラスの中のソーダ水。
ストライプ模様のストロー。
五月最後の青空。
空の上からこんにちは、
どこへだっていくよ。
恋に落ちたら終りなんてない。
✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし
青いチェックのテーブルクロス。
ひんやりとしたグラスの中のソーダ水。
ストライプ模様のストロー。
五月最後の青空。
空の上からこんにちは、
どこへだっていくよ。
恋に落ちたら終りなんてない。
今日の朝刊に割引券が入っていた。
最近できた水族館のものなのだがちょっと変わっている、
色画用紙に刷った手作り風のもの。
私はその割引券を手にとって掌に乗せた、
ほのかにインクの匂いがする。
文字はスクリプトでアクアリウムと書いてある、
住所をみると街外れのさびれた場所だ。
「こんなところに水族館が...
ボートに乗って、
水面の反射を見ていた。
水鳥たちがだるそうに泳いでいる、
空は墨を広げたように曇る。
水面の反射はボートがゆれるたびに、
あちらこちらで光った。
これは確かにあの一瞬、
実在した光の証拠。
雨が降る前に急いで岸に向かう、
ボートは波影を残しながら進む。
バナナの夢を見た。
青いバナナがありました、
遠い南の島の上。
もうじき黄色く色づいて、
美味しくなると思います。
たわわに実ったバナナがたくさん、
のんびり風に吹かれてる。
部屋の電話が鳴った、
懐かしい友からだった。
元気かいと友は言った、
そうでもないょと私は答えた。
今にも泣き出しそうな灰色の雲が笑った。