心をつないでいたものは、
ただひとすじの気持ちでしょうか。
✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし
階段がアサガオのつるのようにのびている、その先端にひとつずつドアをこさえて。ドアは閉じている、だが私たちはそれを開けるだろう。言葉の迷路に迷い込んだら、言葉を消去してしまおう。キーボードの向かって、ワン・クリック。ゆるやかにカーブは閉じていく、振り返れば道はない。夜空にアサガオのつるのようにのびてい...
足跡が行ったり来たり、濡れた砂がどこまでも続く。思い出の中の夏は、まぶしく静かにあっさりと過ぎていった。水色の波。青色の海。空の青。空の白。空のうす紫。空のオレンジ。空のうす桃。
青く暮れかけの霧もでた遊園地が、海につきでた形である。観覧車は水平線を、晴れた日なら遠くまで見せて。回転ジェットコースターは海と空をひっくりかえす。ネオンがつぎつぎともり、光のアーチや緑のあかりがうかぶ。人のまばらな回転木馬にまで汽笛はひびき、知りはじめの私たちの恋を不安にさせる。どうなるかわからな...
ミルク洋酒店で私たちはマルメロ酒をひと壜と、それにロケット壜ソーダを二本買った。つまみには何がいいかと迷っていた私の目の前には、私の身長ほどの大王イカのフライと、テンタクルズの目玉の甘煮がいい香りをはなっていた。妻は無造作にカラス印のスペアミント・ソセージをかごの中に入れる、「どうしてスペアミントな...