大きなクジラが泳いでいる海に行くための、
ツァーが組まれました。
大人気なのでとれるかどうか・・・・。
旅行会社の人がそう言うと、
どうしても行ってみたくなる。
パンフレットを握りしめて、
潮風に吹かれながら甲板に立つ私をうっとり想像している。
そんな夢を見ました。
起きてからも奇妙なほど鮮明に、
...
✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし
大きなクジラが泳いでいる海に行くための、
ツァーが組まれました。
大人気なのでとれるかどうか・・・・。
旅行会社の人がそう言うと、
どうしても行ってみたくなる。
パンフレットを握りしめて、
潮風に吹かれながら甲板に立つ私をうっとり想像している。
そんな夢を見ました。
起きてからも奇妙なほど鮮明に、
...
私はまたこの店に来てしまった、
何とも風変りなこの店に。
「いらっしゃいませ、お気に召すままどうぞごゆっくり」
店主も変わっている、白髪なのに肌はツルツルしている。
私はたずねた、
「よく耳にするのですけど見たことのないものなんです」
「ほほ・・・それはどのようなものでしょう」
それは腹時計である。...
朝晩の風が心地よく感じられるようになると、
虫の声が聞こえはじめる。
夜の道を歩くと、
街路樹の根元や生け垣の辺りから涼やかな声がする。
もうすぐ秋、
空気は澄んできている。
そのかろやかな空気の中、
虫の声と一緒に歩く。
鳴き声の美しい鈴虫は一年に一度、
秋にしか鳴かない。
生きている時間のうち二...
どんなに気をつけていても机や椅子には、
いつのまにか小さな傷がついている。
人も関われば関わるほど、
お互いのどこかに必ず傷をつけている。
それが嫌なら、
無人島ででも暮らすしかない。
それもまた、
自分で自分を傷つけてしまうだろうし。
傷を怖がるよりも、
どうやって治すかを考えた方がずっと早い。
...