架空線が灰色の雪を横切って、北の街にのびてゆく。
無限軌道に浮かぶ駐車場は、雪の階段ができている。
菱形につらなるパンタグラフから碧い火花がちり、
遠ざかる市街電車の音はいつまでも凍った敷石をふるわせた。
「ねぇ、雪玉をスパークさせる方法を教えようか」
「知ってるさ、炭酸水とドライセルを使うんだろう...
✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし
架空線が灰色の雪を横切って、北の街にのびてゆく。
無限軌道に浮かぶ駐車場は、雪の階段ができている。
菱形につらなるパンタグラフから碧い火花がちり、
遠ざかる市街電車の音はいつまでも凍った敷石をふるわせた。
「ねぇ、雪玉をスパークさせる方法を教えようか」
「知ってるさ、炭酸水とドライセルを使うんだろう...
二人分のコーヒーを淹れた。
友はお湯を沸かす間、窓から見える大通りの景色を眺めてた。
空はキレイな雲が流れ、商店街通りは人影であふれている。
友は言う、ここから見えるレンガ倉庫の景色が好きだと。
正確にはレンガ模様であって、レンガ作りではない。
そんな事はどうでもいいのだが。
その建物から伸びたロー...
なんども涙が浮かぶ気がした
流れださないなら大丈夫
そんな非常口をもうけて
押さえきれない切なさを
ひっそりと想いだす
香ばしい香りが食欲をそそる。
マスターは今日のサービスと言いながら、
フランスパンとレモンジャム出してくれた。
紅茶はカモミールティが相性がいいと言う。
パンを見て昼間車の中から見た、
フランスパンのような雲を思い出した。
ぼってっと空に浮かんで、重そうに少しずつ西へ流ていた。
フランスパンはこね方...
「ほら、ちゃんとこの通りあるじゃないか・・・どう思う」
「ここに刺繍してあるの・・誰かの名前だょ」
ほつれた縫い糸の下に、かすかに文字が見える。
「・・・・・バンキッシュ博士」
「誰」
「さあ、マッキントッシュなら知ってるけど」
「それはお菓子のメーカーだろ」
私達は相談して、図鑑を持ち出すことにし...