あなたのことが好きすぎて
ちょっとしたタイミングにも
甘えられない
✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし
石川さんは一見めだたない風貌ですが、
実はそれは世間を欺くための仮の姿で、
世界を股にかける大泥棒なのです。
彼の秘密の倉庫には、
この世のありとあらゆる品物が整然と並べられているのです。
FBIやインターポールの指名手配リストには、
彼の名前が一番最初に出ているのです。
ただの泥棒ではなくなにしろ...
携帯が鳴った、例のリズムで。
それは登録しているマスターからの℡である。
「ハィ」
「今夜・・・彼女来るょ」
私はその先の言葉が出なくてもわかった。
「行くょ・・・・」
ゼブラ夫人のことである、
あれから何度か来ているらしいがすれ違いで面白い話がきけないままだ。
そんなこんなでマスターもゼブラ夫人の...
私は時々お酒を飲みながら、タロットカードを一枚だけ開く。
それもだいたい海を見た日がなぜか多い、
南回帰線の船が汽笛を鳴らしながら白い煙が少し見える。
占いを信じているわけでもない、なら何故に。
ほんの暇つぶしである、何て奴だ。
朝もテレビで今日の運勢なんてのも、何気に見ている。
しかし運気がいい時...
いつも昼か夜ばかりだから、
たまには開店したばかりのお店に顔を出す。
扉を開けると開店したばかりの店内には、
それまで焙煎してた香ばしい豆の香りが漂っている。
その香りを楽しみながら、
マスターがじっくりと時間をかけて淹れる一杯のコーヒーを待つ。
期待が頂点に達した時、
ようやく口にする一口め。
淹...