雨のため仕事が早く終わったが、ランチは少し遅くなってしまった。
夕飯の買い出しも行かなくてはなるまいに、
でも腹が減っては買い物どころではないので胃袋を満たす事にする。
帰り道いつものきっちゃ店に2時近くに着いた、当然店も空いている。
「ランチ・・まだある?」
「あるょ」
テーブルには奇妙なローソク...
✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし
雨のため仕事が早く終わったが、ランチは少し遅くなってしまった。
夕飯の買い出しも行かなくてはなるまいに、
でも腹が減っては買い物どころではないので胃袋を満たす事にする。
帰り道いつものきっちゃ店に2時近くに着いた、当然店も空いている。
「ランチ・・まだある?」
「あるょ」
テーブルには奇妙なローソク...
大通りに面した窓の外に、
ちらり・ほらり・ほんの少し雪が降っている。
ほとんどは雨だけど、底冷えのする寒さだ。
喫茶店の隅に置いてあるストーブの上で、
焼けたリンゴがジジジッと鳴っている。
マスターと話に夢中ですっかれ忘れていた、
ストーブの脇に置いてある火箸でリンゴをつまむ。
かなりいい焼け具合だ...
釈然としないまま時は過ぎて行きました。
あの洋館を訪れてから、何日も雨が続いています。
仕事に出てもピアノの音が、なんだかくぐもって聞こえます。
首根っこが重く、食欲もない。
私は三日続けて注文の仕事を断ってしまいました、
屋根をぽっぽっと叩く雨音が家じゅうに響いています。
うす曇りの夕方、洗濯物を...
私は調律師、依頼されたピアノのチューニングをいつもわずか一音だけ外しておく。
鍵盤中央のA音、客にはまったく聞き分けられないほどほんのわずかに。
仕事が終わると
「まぁ、新品になったみたい」
客は晴れやかな微笑みで私の手をとろうとする。
そして、ハッとします。
手袋をはずした私の右手には、人差し指と...