日本百名山 ~ BSプレミアム ~ ③
- カテゴリ:レジャー/旅行
- 2023/04/04 00:28:00
こんばんは!4日(火)は、全国的に晴れる所が多いでしょう。
ただ、小笠原諸島では明け方までは雨が降り、所により雷を伴う見込みです。
また、非常に強い風が吹いて海上は大しけとなるため、
高波に警戒し強風に注意してください。
冬枯れの
木立を歩く
静寂の森
月下
ナイトハイク
岩の峰
その頂へ
冬へ 美しき静寂の山
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山梨 乾徳山
〇登山ガイド 中島和也さん
ガイドの中島さんは山梨の自然に魅せられ、25年前移り住みました。
奥秩父や八ヶ岳を中心に一年を通してマルチな活動をしています。
*撮影:11月末
前回は中島さんのとっておきの場所。
満月と富士山と甲府盆地の夜景が最高の所までの紹介でした。
今回は果物から生まれました陶器についての紹介から始めます。
<山旅スケッチ>
果物から生まれた陶器
乾徳山など地域の自然を生かした陶器を作る工房があります。
〇窯元 二代目
松尾健さん
24年前に開業した窯元の二代目、松尾健(まつおたけし)さん。
淡い色み大皿。
紫色の部分は乾徳山の夕景をイメージしたものなんだそう。
〇乾徳山の夕景
「乾徳山の山頂っていうのは岩になってるので~岩に反射して、
あの光、陰影とか。
あの~自然の優しい感じ、見えたらいいなっていうような」
優しい色合いが印象的な器。
この色は山梨特産の葡萄(ぶどう)の木から生まれたものなんです。
〇ぶどう
地元の農家から譲り受けた葡萄の間伐材を燃やし、
その灰から作った釉薬(ゆうやく)で独特の色味を出しています。
〇灰釉(かいゆう)陶器
植物の灰から作った釉薬で焼いた陶器
「山梨っていうと果物の産地じゃないですか?
この地で焼物を焼くっていうとその土地にあるものを生かすっていう
ポリシーでやっていますので~」
〇もも
使う果物は他にも。
これも特産の桃の木の釉薬で焼いたもの。
〇りんご
「果物の匂い立つような瑞々しさがありつつ~、
あと柔らかいとかそういう特徴が出ているかなと思うんですけれどもね~。
日々のあの~空とか雲とかね~、自然の移り変わりとか、
それを感じさせるような仕事が出来たらいいな~と思うんですけどね~」
山梨の果物から生まれた陶器には乾徳山の自然の恵みがいっぱい詰まっています。
2日目
午前8時、あ~朝日が眩しい。
「気温が低いんで空気がピーンと張り詰めた感じしますね~」
「あっ、ちょっと向こうご覧くださ~い、空ですね。
彩雲(さいうん)が出てます。
空の所に~虹のように色が出てますよね~?」
〇彩雲
ほんとだ~、雲が七色に光ってる。
「あ~、凄い凄い」
彩雲は雲に含まれる水蒸気に太陽の光が反射して現れるそう、幻想的~」
「こうやって空気が澄んでる時に、あの見やすいと思いますね~」
シラカバや~ダケカンバの冬枯れの木立ちの中をゆっくり進む。
「上見ると青空とシラカバの白が凄い綺麗ですよね~?」
〇ツグミ
ピピピピピピピピ♪ ピピピピピピピ♪
すっかり葉が落ちた森は生き物達も見つけやすい。
〇シジュウカラ
その息吹を感じながら山頂を目指す。
出発して30分、昨夜(ゆうべ)ナイトハイクできた萱場に出た。
〇扇平
そこは夜とはまるで違う風景。
「黄金色とねまた青空の対比が素晴らしいですよね~?」
眺めも最高。
岩が多くなってきた。
傾斜も厳しい。
はぁ~、なかなかきつい。
中島さん、さっきまでの道と全然違いますね?
「そうですね~、まだまだこれからもっと険しい所ありますからね~。
あのガラッと雰囲気が変わります」
出発して1時間、は~、一段と険しくなってきた~。
「おっ、来たかな~?」
よいしょっ、うん、は~。
「はい、OKですね~」
「ちょっとね~面白い岩があるんで~ご覧くださ~い」
あっ、割れてる。
「そうですね~、あの真ん中が~真っ二つに割れてますよね~?」
何だか今流行のアニメの主人公が刀で割った岩にそっくり。
アッハッハッハッハ。
「あの髭剃岩って名前がね、一応付いてるんですけども~」
〇髭剃(ひげそり)岩
髭剃岩?面白い名前。
「ちょっと向こうまで行けるんで~、行ってみたいと思いますね~」
え~、割れ目の幅は50cm、どんどん狭くなってく~。
髭が剃れてしまう程狭いことから髭剃岩っていうんですって~。
そして割れ目も向こうは?こ~~んな断崖絶壁。
う~~~、この岩凄い所にあるんですね~?
「そうですね~、この先もっと危険な箇所出てくるので~、
全集中して~行きましょ~う」
はい。
うわっ、危な~、切れ落ちてる。
「そうですね~、もう断崖絶壁です」
気が抜けない。
ここも岩がそそり立ってる。
〇カミナリ岩
「カミナリ岩っていいます」
カミナリ岩?
「少しまぁギザギザしていて、
まぁあと所々滑るので、気をつけて通ってくださいね~」
岩の表面が凸凹と波打ってて登りずらい。
よいしょ~、う~。
次から次へと現れる巨大な岩。
その間を縫うようにして登る。
乾徳山、上の方は岩だらけなんですね~?
〇岩のテーマパーク
「ほんとに岩のテーマパークみたいですよね~?」
う~ん、確かに。
「は~い、見てください。
これが鳳(おおとり)岩です」
〇鳳岩
「山頂直下の一枚岩で、これが最後の難所になりますね~」
ついにラスボス登場。
垂直に切り立った鳳岩。
高さは20mもあるんですって。
これぞ乾徳山のシンボル。
「凄いでしょ~?
まさにクライマックスですよね?
頑張って行きましょう」
岩の下の方は表面がツルッツル。
足掛かりが少ないので、鎖をしっかり掴んで登る。
聳え立つ一枚岩をグングン登る。
ついに鳳岩を登り切った~。
出発して2時間半
〇乾徳山山頂(2031m)
「はい、ここは乾徳山山頂です。
標高2031m~ですね~」
お疲れ様でした~。
「まず、後ろご覧くださいね~」
わぁ~、凄~い。
「富士山ですね」
南には美しい裾野を広げた富士山。
乾徳山から見る姿も綺麗だな~。
〇南アルプス
南西には南アルプスの山並み。
仙丈ケ岳 甲斐駒ヶ岳
甲斐駒ヶ岳、仙丈ケ岳。
聖岳 赤石岳 荒川岳 間ノ岳 北岳
そして北岳、間ノ岳。
さらに荒川岳、赤石岳、聖岳(ひじりだけ)。
甲府盆地を取り囲む山々が一望。
空気が澄んだ冬ならではの大パノラマです。
〇登山ガイド 中島和也さん
「今の時期は四季彩美しさっていったら
ちょっと遠ぼ惜しいかもしれませんけど~。
葉が無いことによって冬芽の形の美しさとか木の樹皮の美しさとか、
樹形の美しさとか、そういったものが目に入ってくるので、
そういった魅力が溢れてると思いますね~。
僕にとって乾徳山は~色んな気づきを与えてくれる山だと思いますね~」
冬へ向かう時季だからこそ出会える自然の奥深さ。
ワクワクとドキドキ、新たな発見に心躍る乾徳山の山旅です。
旅のスタートは乾徳山の麓、徳和渓谷近くの登山口で中島さんを待ち合わせ。
一日目は乾徳山ゆかりの吉祥寺へ。
かつてこの地を治めました武田家を守る為に建てられたお寺でした。
出発して4時間、高原ヒュッテに到着でした。
一日目はこちらに宿泊しました。
夜はナイトハイクをして小屋から30分、月見岩に到着。
こちらからのお月様は美しかったです。
ニホンジカがいてピーっと警戒音を出していました。
尾根づたいもの爽やかさ、冬枯れの開けた扇平。
険しい岩場、垂直の壁、針葉樹の森など様々な表情がある乾徳山でした。