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かきくけこのブログ。


ゲシュ崩ログ 373 かぐや姫(漫画)

最近読んだ漫画で、かぐや姫という漫画があった。あの漫画の中の登場人物たちがそれぞれ自分の心のなかの想いの丈をどんどん吐き出すので、人の心がわからない(笑)私にはああいう風に心を打ち明けている漫画が好きです。

 最後の最後まで月の石ってなんであんなに重要でみんなが欲しがるのか、理由がよくわからなかった。月の石って手に入れたら月が手に入るっていう事なのか…?というワケでもない感じだし。重要文化財だから欲しい、みたいな事なのか。でも月の石の周囲では殺人カビとかなんだかきな臭い事件や死人が多い。なのに王様が欲しがる理由って?というところがよくわからなかった。いろいろまだほとんど読んだけど理解できなかった。そういう難しい漫画だった。本体とドナーの関係もややこしかった。設定に必死でついてくのが難しい漫画だった。それでも理解したかったのは、めちゃくちゃ絵が、美術工芸品みたいな絵の漫画で、きれ~~~~なんですよね。絵が綺麗~~~と、絵が綺麗だからもうOKと思った。いろいろいる登場人物たち、行動理由がよくわからない人いっぱいいる。平然とマフィアの道をひた走る人とか、偏執的な執着じみた由やまゆの愛とはいいがたい偏った溺愛とか。個性的な人物が多い中、柏木さんという登場人物は、大人が漫画読んだ時に納得できる人物だったな。もうおとなになると、「そんなヒロイックな漫画の中にしかでてこない創作の人物」という気持ちがどっかにあるんですよね。でも、柏木さんという登場人物は、ものすごく現実的な人物だった。まさに月や天上のような幻想的なイメージの作風の中で、柏木さんという人物像は、なかなか超現実的な、現実世界における女性から見た男性像、だったような気がしてました。
 小さい子供にへーぜんと接吻するし…アイドルの卑猥な写真を集積するし…支配欲、出世欲で仕事するし…寝室にきた女性に力づくでも悪びれないし~…。
 という、女性が「なんで男の人ってこうなんだろうね…」と一度は思うような、ものすごく男性らしい男性、というなんだか途轍もない、少女漫画らしからぬ、なんとも生々しいリアルな、男性というキャラクターだった柏木さん。
 あの柏木さんが出てきた時、「この漫画は少女漫画なのか?」と驚いた。夢も希望もありゃしない…現実の男の人のまんますぎて、お話が、柏木さん登場から、少女漫画の流れじゃなくなって、成人漫画になる。でも、だからこそというか、大人の私は「こういう現実社会にテコいれするような、暗部をえぐるような」という生々しい力強さ質量、質感を持つキャラクターが出てくると、「この作者最高」って思えるんですよね。なんていうこの壮絶な表現力!と。
 でもちょっとやっぱ少女漫画だからか、そんな超現実的な、現実にいたら私友達になりたいと思うようなエネルギッシュで有能で王道な、現実にいたら普通に社会で出世成功間違いなしなキャラクターなのに、漫画の中では「重力発生装置(だったかな?)」みたいな現実には存在しないドラえもんの七つ道具ばりな装置によって、圧死させられていしまうという結果に。現実世界には、そんな重力発生装置で人が圧死させられるという事は、まぁ無いので…。それは漫画の中の夢ファンタジーなんですよね。現実にもし柏木さんという人物がいたら、というか、現実にはああいう男性はいっぱいいるというか、男性って多かれ少なかれ柏木さんみたいな部分があると思うな~と私は思いながら、読んでました。そんな柏木さんが圧死させられているのを見るのは、とてもつらかった。なんだか現実は厳しいというか。現実の人物は、夢の世界ではこんなにも拒絶させられてしまうものなのかと思ったというか。まぁ、少女漫画なんだから、現実的な男性って本来登場しないものなんだから、やっぱりあのかぐや姫という漫画は少女漫画だったんだなと思ったんですけども。大人としては、柏木圧死はちょっと残念だった。そんな気持ちになる程、生々しい現実のリアルな男性像を描いていたかぐや姫という漫画。そして柏木さんという絶妙に女の人が「男の人って…?」と首をかしげたくなるような、そんな、the男の人代表みたいな柏木さんが、どっかでスピンオフで幸せに暮らしているのを見たい気がしますけど。スピンオフの可能性もない描写になっていてなんだかもう、作者さんの鬼才ぶりには、少女漫画の神髄を感じておぞけが走るのですけども、だって少女漫画ってそういうものですし。という感じの、すごく素晴らしい少女漫画であったのだった。登場人物ほとんどみんな好きだけど、柏木さんがどうやったら幸せになるのか、いろいろ考えて「晶と出会わなければ…」とか考えてしまってなんだかもう、晶というキャラクターがいったいなんなのか。幸せの原因なのか不幸の原因なのか。もんすごく深い迷いと謎と興味関心をかきたてる読後感を残してくれます。




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