映画 「ブレットトレイン」
- カテゴリ:映画
- 2025/03/14 08:33:35
以下ネタバレご注意ください。
映画ブレットトレインは、やっぱり主人公のブラッドピット様がカッコイイのですよね。なんだこのダサいおっきいおじさんは…。いつどの角度から見てもカッコイイです。一応年齢制限はないけど、暴力的な表現はあるので、やっぱり大人向け映画になるのかもしれません。クライマックスの、ヤクザが刀で斬りあうシーンなんかもう、壮絶にカッコイイのですけど、子供が見たらダメだな!という感じはありました。大人向けです。
ヤクザのボスに勝利する、一般人のブラピ。
ブレットトレインのお話に、ホワイトデスというヤクザのボスが出てくる。対抗するヤクザ、ファーザー木村はホワイトデスとまともに斬りあえる唯一の存在。そんなヤクザとヤクザの伝統的といえるチャンバラ抗争に巻き込まれる、一般人のプラピ扮するレディバグ。ブラピ様は終始「運が無い」役。とことん不運だ、不運だと嘆いていて、実際まったく無関係のはずの京都を根城にするホワイトデスのヤクザ一掃謀略に巻き込まれていく。本当に運が無い。なんて運が無いんだろう…という一般人というブラピ。しかし、まったくの不運のプラピなのに、まさかなぜか、その不運をなんとか偶然にも乗り越えてしまうという、不運なのか、悪運が強いというのか?さっぱりわからない状況がてんこ盛り。プラピことレディバグの人生は、まったくの不運続きであるのにも関わらず、その不運を乗り越えるだけの幸運も用意されているという…。運がいいのか悪いのか、さっぱりわからない一般人の設定という主人公。一般人にしてはヤクザからの攻撃を紙一重でかわす身体能力もすさまじい。だけど、本人は真面目な普通の一般人のつもりであり、とことんヤクザの抗争にずっと無関係の立場を貫く。ずっと真面目なただの男である、という筋を通す、それが一般人というプライドを掲げ、そのPRIDEを絶対に曲げない。退かない。ヤクザに囲まれても、ヤクザの中で一般人として恐れず進む。普通に考えると、あんなに殺人鬼ばっかりの中で、レディバグだけは話し合いで解決できないかと持ち掛ける。勇気が一番あるのがレディバグであった。
そんなレディバグ、仮面のヤクザが紛争や新幹線の破損にしたがって死んでいくのに、いたって普通で真面目な男のプラピは、生き残っていく。あ、あと蛇も生き残っている。蛇ってかわいい。
ヤクザに襲われても、どうにか平和な道はないのか、はなしあおう、話し合って解決しようという平和的な立場をとる、あくまで絶対普通の一般人の筋を絶対曲げない、ある意味ヤクザより自分の信念を曲げない、一般人であるという立場を崩さないレディバグ。そんなレディバグなプラピは、最終的に新幹線が壊れて死んでも、やっぱり生き残る。生き残ったファーザーとホワイトデスはやっぱり最後まで戦い続ける。もはやどちらが死んでもおかしくない、最後の最期まで戦い続けるヤクザたち。そんなヤクザの間に、またもや不幸にも、巻き込まれてしまうレディバグなプラピ。ヤクザホワイトデスに拳銃を向けられる。それまで、ホワイトデスに拳銃を突きつけられて死んだヤクザは数知れない。伝説的なホワイトデスの抹殺の歴史。そんな殺し屋髄一、世界一ともいえそうなホワイトデスに拳銃をつきつけられて、レディバグプラピも、あわやここまでか。と今わの際かとなるのだが…。
ヤクザは一般人に絶対に勝てない。
しかし、それがやっぱりヤクザという事なのか。ホワイトデスはそれまで、人を殺そうとする時、必ずデスロシアンルーレットをし、自分の命を懸けて、人を殺してきた。(この身命を賭すロシアンルーレットの演出があるので、ホワイトデスは娘に銃口を突きつけた時、それがまったく殺意がなかったという事を証明している。すごく娘は傷ついたと思うけど、ホワイトデスは娘を殺すつもりが少しもなかったという泣ける演出)そういう自分の命を懸けた壮絶な覚悟のなかで殺害を繰り返してきたんだけど、最後の最期に「お前に言われる筋合いはねぇーーーーーーーーー」と、単純にただ単純に、プラピの口調に腹立って、という理由で銃を撃つ。でもその時、怒りにまかせた銃弾は、自身に跳ね返り、暴発により最後を迎えてしまうという、ヤクザの筋が通ってなかった時、それがヤクザの終わりなのだ…とでもいうような。そんなヤクザの親分なだけあり、さすがヤクザ。これぞヤクザ。絶対に筋を守る事がどれだけ命がけなのかを体現した。自分の命を懸けて人を殺すのは許されて成功していたけど、ただ単純に「キレた」という理由で、しかも一般人を殺そうとしたら、すかさず自分に跳ね返って死んじゃうという。一般人とヤクザの高すぎる壁を表現した映画だ…。これは…。と、なんともいえないすさまじい教訓が描かれている…と私は感じました。ヤクザは、どんなに強くても、一般人に手が出せないのだ。それがヤクザであり、そして一般人は一般人であるという事が、一番強い。
助かった後のプラピ。
ヤクザの殺意にも負けず、生き残ったプラピ。「息子をよろしく頼む」ってファーザーにお願いされてたけど、覚えるのかな?(笑)なんだか、そこでもし、プラピがヤクザなら「おじき、あんたの頼みぃ…あっしは忘れまへんでぇ…男と男の約束やぁ…必ず守り通してみせますー」とか、そんな盃交わした俺達みたいな顔をしてもよさそうなのですが、そこがまた一般人プラピのいい所というか。かわいらしいところ。事が全て終わったら、綺麗な女の人が前から歩いてきたら、めめしくも涙ながして「ええ女きた~~~うあw~~~最高の女~~すき~=~~~」って。そのすぐ綺麗な女の人にデレるところも、なんだかもう、弱弱しい部分のあるオトコの人って、憎めないですよね。
女の人とハッピーエンド。
最後には、なんだかんだで命からがら生き残ったブラッドピットレディバグ。綺麗な女性とランデブーでハッピーエンド。いいですね…。なんだかんだで色々あったけど、ヤクザがいっぱいいる世界に巻き込まれても、ブラッドピットはそんなヤクザに影響され、ヤクザに憧れたり染まったりしなかった。普通の女の人と、壊れた新幹線を後にし、新しい人生を獲得していく。そんな晴れやかな(笑)一般人が一番強く、なんだかんだ運が強く、そして一番綺麗な女の人をゲットするという、真面目な一般人を応援する、なんとも嬉しいしもじもの民である我々の為の映画だったよ。にしても、伝説のヤクザを倒したってのに、それを自慢もしない一般人のブラッドピット。なんだかそのノー天気というか、本当にちっともわずかにも、ヤクザに興味がない男って、こういう感じなんだな、と思わせてくれるし、そんな一般人が一番最強でカッコイイという、面白い映画だと私は思いました。
本当に怖いのは普通に見えるひと
現代にもへんな恰好して肩で風を切る人いますけど、やっぱり一番怖いのは、普通に見える怖いひとですよ。という事が、ブレットトレインにも描かれていると思う。一般人に見える人、弱そう。かわいそう。不幸そう。そういう人が本当に弱いのか…。生き残ってはいないのか?人を軽んじる、なめてかかる。そういう事が一番にんげんが、それも「強い人間が」破滅する時のパターンじゃないか。と、自分が強いという自覚がある人にこそ、このブレットトレインを見ては身を戒めて欲しいと私は思う。