Nicotto Town


ガラクタ煎兵衛かく語りき


崩れゆく大雪像

 昨日から今朝にかけて、終了した雪まつりの大雪像を壊す映像のニュースがちらほらと流れている。有名な建造物や人物や動物を模して精妙に造られたある意味芸術品が、恐ろしい形をしたパワーショベルにガラガラと切り崩されていく。

 その光景を間近で眺める人々は年々増えていて、それを盛り込んだツアーまであるほどだ。口々に言う。「すごい」、「ああ、もったいない」、「可哀そう」。

 そんな時いつも思い出すのは30年以上前の自分。『ああ、あの頃考えてたな』と、夢想に終わったフィルムのシノプシス。

 逆向きに歩く。そのまま店に入る(後ろ向きで)。そこは散髪店のよう。料金を払う。椅子に座る。店主が奇妙な振る舞いで僕の髪を刈ってゆく。丸坊主になった僕は椅子から立ち上がり、再び逆向きに歩いて店を出る。

 この映像をフィルムの逆回転で見てみると、丸坊主の僕が店(着髪店)に入って、店主に髪を着けてもらい、代金を払って店を出ていく、という一見シュール(?)な内容。

 ブルトンやアンダルシアの犬にかぶれていた頃だ。

 それとは別のアイデアで、アポロ何号のいったん地表を離陸しながらも静かに沈んで爆発する実際の映像とともに、大雪像が崩壊していくさまを合わせた、ある意味破壊的なシノプシスもあった。

 当時は8ミリだったはず。今ならもっと凝った映像も可能だろうけど、今あの頃の熱情はもはやない。





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