Nicotto Town


ガラクタ煎兵衛かく語りき


楽器


久し振りに楽器を買いに出掛けた2年半前。
当時でも既に札幌の楽器店は瀕死の状態だった。

その数年前には、道内でその中心的な存在だった玉光堂は規模を縮小していたし、
狸小路のキクヤ楽器は閉店、イケベ楽器は不安定、その他はよう知らん。


初めて見た《お店で売っている楽器》は、今は亡き富貴堂の1fから2fへ上がる階段だった。
その左側のガラスのショーケースに陳列されていた管楽器類は中3の自分にとって眩かった。
なかでもフルートやホーン、そして刻印された数字を駒に配置した大正琴は、
よく理解できない蠱惑的な雰囲気を発していた。


『ああ、いつかはこの楽器を手にするんだな』と、その時点でハーモニカとリコーダーと、
ガットギターしか知らない自分は予見した。胸が震えた。
そして地方ブランドだったFUUKI(富貴)ノートを受験に備え五冊買い、帰宅した。
その予見は半世紀経った今でも外れっぱなしなのです。


度重なる転校で、小学校低学年時に触れる音楽教材は
ハーモニカとリコーダーの間を彷徨っていた。
(別な考え方をすれば両方上達するのだが、何故かどっちもヘタクソだった)
小5の時、唐突に親に対してギターを所望した。
どこかで手にしたYAMAHAのカタログの、2番目に安価なGT-6000を所望したのだ。
ヤマハ・ガットギター・定価6000円。
経緯は覚えていないが、数週間後に、ビニールケース付きのGT-6000が、
日本の辺境である北海道、三笠市の小学5年生である自分の元に届いた。

付属していた教則本でアヤポンド、アルアレイなどを地味に覚えていった。
更なる転校で何故か中太鼓wを学芸会で披露した。
詳細を省くが、文部省唱歌である「とんび」では、トライアングル(あの三角形の金棒)の、
右下角の2辺をトレモロするという決め技を教師の指導の下に聴衆(親だが)の前で放った。
<と~べ、と~べ、とおんび~、そらたかく~>、という歌詞なのだが、

今調べたwikiによると
「ピンヨロー(ピーヒョロー)」というトビの鳴き声が繰り返され、
トビが大空を優雅に飛ぶ姿を連想させる曲である。

理解していなかったー、そんな難曲だったのかー、御免なさいー、適当にやってましたーっ。


そして更なる半年後の転校は以前のの学校だった。
その年、日本全国的に膾炙した流行り歌の一つに「帰ってきたヨッパライ」があった。
勝手知ったる学校である。級友の御母堂からお鬘をお借りし、クラス合同で、
件の曲の劇場化を事もあろうに小学校最終学年の学芸会で果たしたのだった。

「オラは死んじまったーだー」
「天国に行っただー」
「天国良いとこ一度はおいで、酒は旨いし姉ちゃんは綺麗だ」
このような展開である。

天国に昇天したヨッパライが、さまよっている舞台で、
左から右へ走ってくる綺麗な姉ちゃんが袖の手前でコケる!
派手にコケる!
とにかく派手にコケる!
その頭から鬘が宙に舞う!
体育館内にはあの珍妙な曲が流れ続けている!

思いは一つ。
舞台の上のヨッパライも、天使も、はけている登場人物も、裏方さんも、
これから出てくるキャラも、
思いは一つ。

笑ってください
笑ってやってください!




真実かどうかはわかりません。
けれど、そのとき、
浮かれきったヨッパライ(役)も
もう一人の姉ちゃん(役)も
全ての登場人物も
床のワックスの変な匂いに鼻を思い切りぶつけた自分も



流れている名曲とともに
観客(親)からの笑いを受け取った記憶があります。
これで素敵な素敵な自分の小→中時代の遷移の分析が、
音楽面と、演劇面で果たされたと思います。





河合君、中川君、成田、山君、あれっあのとき吉田のあっくんは転校してたかな?
鶴家君、若ちゃん、浦山君、そして鬘を提供していただいた村ちゃんの御母堂と、
村上君にこの文章を捧げます。
HORONAI FOREVER!



おかしいな?楽器の話だったんだけど、
どこで昔ばなしになったのかなー
シランプリ

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2022/01/07 09:29
あはは、、あの名曲を、、舞台でとは、さすがです

あのソノシートだっけ?

確か買いました、、

最後に生き返るところがいいよね




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