Nicotto Town


ガラクタ煎兵衛かく語りき


WHO AM I ①



今回はキツイよ
時短の方はスルーしてね



自分って何だろう
いや、本当はとっくに分かってるだろう
自分は両親から生まれ
三人の姉によって鍛えられ
幾重もの周囲の愛情という環境で育まれてきた



東京から帰札し、中くらいの会社に潜り込んだ
35歳の頃である
えらく真面目くさくて、態度にはこれといった印象も無く
技能や資格は一つも無くて、ただ臆病なゆえ
前を見ることしかできなかった


その会社は男女比が、3対7か、4対6くらいか
男性のほうが明らかに少なかった
半年くらいは見習いというか、末端のお仕事だった(センパイアリガト)
そして一年経つ頃には、あるセクションを任された


そこは技能も要らず、ただ出来上がった製品を発送するだけ
ちょっと重ためな製品を梱包し、佐川急便のトラックに手渡すだけ


なのだが、納期の迫っている製品(の部分)がなかなか揃わない
それで、「まだ出来ませんか、納期が明日です」んな風に訊くと
「まだだ!」という男社会と、「無理よ!」という女社会の狭間で
そのセクションを任された自分は何故か
(サイボーグ009)の奥歯の(加速)スィッチを噛みしめて


うまい表現が見つからないと思っていたが
後に、”ネゴシエイター”というスピンオフプログラムが放映された
「ああ、自分はこれだったんだ」と、振り返る機会を得た


分かりづらい文章でしたね
まだまだ続きます





納期の迫っている製造の最先端に、朝10時頃に赴く
朝だから当然相手は不機嫌である。大先輩である
「いつ頃出来ますか?」
「ああ!?」眉が上がった
私は真面目くさくて、臆病で、前しか見ていなかった
「いつ頃出来ますか?」

目と目を合わせてくれた
「おし!昼前にあげたるわ、すぐ取りに来いよ!」
「あざーす!」




そうして、やっと出来上がった製品(でもそれはまだ部品)を
今度は女子部に、昼休憩終了直後に持ち込む
えらい迷惑な仕事を、通常な作業以外にブチ込む

女子部の責任者は目をむく
「ええー!ナニ!」
おそらくここで、三人の姉によって鍛えられた弟の
奥歯の(加速)スィッチが再び噛みしめられる
「佐川急便の来る午後5時に間に合わせるため、4時半までオネシャス」
「無理!」
と、ここで自分は、その声が聞こえる範囲(そこには二十数人の女性がいた)に
再び頭を垂れ、宣う
「オネシャス」


女子部の責任者は再び目をむく
背後の各所員は覚悟を決める
《しょうがない、これを仕上げなくては帰れない》


4時25分にできた完成品は無事セクションに届けられ
10分後には佐川急便のトラックを待つばかりだった




そうそう、これを書かなくては片手落ち
コミュニケーションは苦手だけど
やらずにすめば(楽だけど)
普通にできれば
いや、
普通って何?
良くわかんない




35歳に勤め出した、その最上部(というか工場長)から
(10年しかいなかったけど)
自分が慢性関節リウマチのため辞職を申し出たときに
「いづれは継いで欲しかった旨ウンヌン」
という言葉を頂いた

断言できる
ネゴシエイターは必要なんだと
自分は要するにネゴシエイターとして9年間勤労したんだと


だって、職人気質の男社会、キツイ女社会
そんなあいだをフワフワして、ヒョロッとして
後にはそれが原因で病となる重苦の気配を背負いながら
短かったけど、全うしたと思う



そうそう、楽しかったよ
勤労って楽しくなければ続かないから
入ったばかりの心細さ
やがて
昼休みの眠り時間の義務感
やがて
辞めたときの達成感


そう
何より、そう、こんなこと書いたら変に思われるかな
ひとり、ひとり、皆さん違います
それぞれのジェンダーを背負い
それぞれの環境を背負い
それぞれの考え方で
みんなそれぞれ






だって、だって、当時の自分は全ての、全ての
女性作業員と失礼にならない程度の挨拶をやってました


だって、だって、楽しいし、自然なんだもの
(今考えれば、ネゴシエイターとなりつつある自分
への見究めなのかもしれません)

だって、そうなれば、ごく平常にこんな囁き声が
作業場に流れるでしょう
《ああ、また言ってるわ、あの男》
《しょうがないわね》
《さ、早めに仕上げよう》       (妄想)




2回事件が起こりました



そのうち1回は未遂です



最初は自分(筆者)のネゴシエイター振りに不満を抱いた
上司が送り込んだワンダーウーマンの件です
経緯は忘れましたが(大人のアレではありません)
突然、特別に、仕事のできる、半分ベテランの若き女性が
本社から現場に投入されました
しばらく自分は身を引きました
おとなしくしてました

半年後、何故か、近所の居酒屋で
自分と彼女と本社のフロント女性の3人で飲み合っていました
何だっけ、寒い冗談で、トマトジュース割りのリキュールを
ドラキュラのなんとかという呼称で少なめな笑いを
温め合う、そんな居心地の良い(?)ママがカウンターの向こうにいた


御免なさい
皆さん頑張ってるし、プライド持ってやってるし
誰一人いい加減な人は居なかった
社長は立派な人
いづれ後を継ぐ若社長も立派な人


でも、最前線で貢献したのは僕ら3人なんだよね
ああ、これは言い過ぎか

みんな貢献したんだから
自分が~、自分が~、ってのは
醜いね



結果を先に言おう
数か月後、ワンダーウーマンは謎の辞職を遂げた
本社にも戻らなかった
去り行く彼女の眼差しを一瞬捉えた気がする
そこには悔しさで一杯だった、でも精悍な意思が伝わった
『あとは頼むわ』


更に数か月後、居酒屋組の本社のフロント女性にプロポーズした
誰が?
自分です
返答は
「既婚です」



若かったなあ~
目の前がクルクル回転してて、仕事が面白くて
コミュニケーションが好きで(本当は一人上手)
めっちゃくちゃタスクが多くて
残業時間月200時間が日常、うん?不確か?



自分が40になり始めた頃、3人の姉に鍛えられたおかげで
女性を異性とはあんまり認識できなくなっていた
だって、話しが合うんだもん
みんな綺麗で
みんな可愛くて
でも仕事場だからそうそう甘い顔は見せてくれない
大抵は肘を張る

でもね
もうみんな大好き!
飛び込んだら、受け止めてくれた!
YES.I`m ネゴシエイター!



おっと、勘違いするなよ
男は大嫌いだから
(おのさん、御免、軽く流して~)

アバター
2022/08/21 12:56
軽く流していただき、あざーす!
アバター
2022/08/21 09:11
いえいえ、私も男より女ですw
私はずっと男社会で、職場も女性は1割もおらず・・・羨ましいです
でも女性が多いのも大変そうですね^^;




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