その後の頑固老人の外食風景(フィクション)
- カテゴリ:日記
- 2022/10/03 20:37:47
某月某日 あのカレーチェーン店にて
オーダー品 soko壱カレー(辛さ1)
さすがの頑固老人も猛省をした
本当にあれは大人げない行動だった
もうあの店には行けないだろう
でも悲しいことに今日もお腹が空いた
自動ドアをくぐった老人の顔面は蒼ざめていた
しかし意外なことに 店の対応は素晴らしかった
老人の姿を認めるや否や 接客係の店員が速やかに歩み寄り
「いらっしゃいませ! 先日は失礼しました!」
頭を下げた反動でポニーテールが軽やかに踊った
「へ? 私は出禁じゃないんですか?」
頑固老人はうろたえていた
「私共の配慮の無さで お客様に不快な思いをさせてしまいました!
ちなみにお客様はタクアンはお食べになりますか?」
「は!タクアンは大好物ですが?」
「宜しかったら 福神漬けの替わりにタクアンをご提供したいのですが」
老人なので涙腺は緩かった
崩れそうな膝を自ら激励し 案内された席までの歩みを果たした
そして干からびた声でオーダー品を告げた
数分後 皿の端に黄金色の
それはそれは美味しそうなタクアンが2切れ乗っている
soko壱カレー(辛さ1)がテーブルに供された
「ごゆっくりどうぞ」
頑固老人は感動に震えた
『これだ! これだ! 私の食べたいものはこれなんだ!』
少々行儀が悪いが 鼻を近づけてタクアンの匂いをかいでみる
強いカレーの香りにも負けない
老人がまだ幼かった頃に食べ慣れたあの匂いが蘇ってくるようだった
soko壱カレー(辛さ1)のお皿を前にして 老人は感謝に打ち震えていた
『私は今猛烈に感動している!』
お店の好意 美味しいに決まってる料理 昼下がりの明るい店内
ここで誰しもが予期しえないことが起こった
なにせ老人なので
脳内の各種のスイッチの一部でニューロンの逆作動が起こったのだ
本来流れるべき電流が反対方向に流れて
数か月前に老人自身が一度経験した動作を安易に 自然に 再現してしまった
器物破損と営業妨害で 駆けつけた警官により頑固老人は再度現行犯逮捕された
公衆の店舗でのちゃぶ台返しの罪の重みはどのくらいなんだろう
2回目だし
後日 会見に現れた公選弁護人は再度の登場に薄笑いを隠そうともせず
ローカル記者達の前でこう言った
「彼の主張は守られるべきです さて それでは 彼は容疑者なのでしょうか?
あなたも 私も 実は 彼自身なのではないでしょうか?」
そういった後 彼は天井を いや虚空を見つめるように ひとりごちた
「私を解任してください もう付き合いきれない」
札幌の片隅で もうひとつの案件が起訴猶予になった
いや ただ単に笑っていただければいいのですが
人生に笑いを
無理か
おもしろそw
ちゃぶ台返し 選手権大会なるものを、やってた様な?
でも今それを云ったらコンプライアンス的にアウトですよね
どうしよう、、、もう一回引っ繰り返そうかな
誰も見てないとこで
いや それ意味ないか