Nicotto Town


ガラクタ煎兵衛かく語りき


アナログの良さ



デジタルのデの字も無かった頃
小学生の頃かな

月曜日の全校朝会 委員長の出番だ
順番(学年の逆順 クラス別に予め決めていた並び順)通り廊下に並んでもらう

行き先は体育館 各クラス綺麗に並んだあと 
校長先生のありがたい訓示を戴く 内容は今でも何一つ覚えていない

北海道の冬の体育館は水も凍る
大変だった子もいただろう
北海道の夏の体育館も過酷だった
先生のお話しの途中で あちこちで ドタンバタンと音がする

最初はびっくりしたが そのうち慣れてきた
毎回1~2人は失神して床に体ごと崩れ落ちた
回りの数人が助け上げて保健室へと運んだ

美人で有名だった保健室の先生は 月曜日の朝が憂鬱だったろう


まあ特に大事には至らない 稀にもろに頭部を打った場合は救急車が来たのかな





デジタルのデの字も無かった頃
体温計は水銀製
保健室は石炭ストーブで温まっている

素直だが悪知恵(浅知恵)は既に持ち合わせていた

体がダルイ 勉強したくない そんなときは授業中に挙手し
「すみません 保健室に行かせてください」と言ってエスケープした

美人の保険医は私が病弱であると知っていた
すぐさま壁際のベッドに寝かされ 体温計を脇の下に挟まれた


その時 私の中の一番ブラックなフェーズに自ら移った自分を覚えている
何かの用で保険医は部屋を出た
『今だ!』
要するに発熱していれば解熱剤みたいなもんを飲まされて家に帰れる
(その頃から私はひきこもり体質だった)
(正確には校医は家庭薬以外は処方できないので効果は薄い)


さて そこでブラックな私は体温計の表示温度を上げる作業にとりかかる
もし40℃を超えていれば午後の授業はパスして家に帰る免罪符が手に入る


暖かい保健室 石炭ストーブが上に蒸発缶を冠している


素直で頑固でひねくれている私は完璧な計画を当初から準備していた
即座に脇に挟んであった体温計を抜き去り
立ち上がってストーブの側に近寄った
体温の詐称を図るべく 表示温度を上げるため その蒸発缶の上に
その水銀計体温計をかざそうかかざすまいかした途端
体温計(の中央部分ね)は破裂し 銀色の水銀は蒸発缶の一番下をグルグルまわっていた
体温計は壊れた


さて そっからが私の私たる所以である
壊れた体温計を開いていた窓から投げ捨て
保険医のデスクを荒らし 別の水銀体温計を探し出し
すぐさま脇に挟み直し 何食わぬ顔でベッドに戻った
もしかしたら多少苦しそうな表情を演じていたかもしれない

すぐさま保険医は戻ってきた
何事もなかったように私は自ら手の脇の体温計を自然に差し出した
「あら 平熱ね 午後から授業に戻っても大丈夫よ 担任先生にも伝えとくわね」



このときほど彼女を抱きしめたいと思ったことはない
いえいえ 異性愛ではなく 師弟愛でございます





さて その夜 多少の残業をしたかもしれないが
保健室のストーブを消し 帰り支度を始め
最後に蒸発缶の点検をしたとき
彼女は(比重が重たいので未だ)グルグル回っている
重金属のようなものを なんと解釈したのか



素直に言う 悪さをしてゴメンなさい

アバター
2023/06/08 18:22
なんじゃ この会話
アバター
2023/06/08 15:40
あ、図書委員もしてました、、w
アバター
2023/06/08 11:19
図書委員かと思ったけど そんな柄じゃないもんね
てか 保健委員って柄か!
アバター
2023/06/08 03:15
保健室、、好きでした、、

保健委員をしてました




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