Nicotto Town


ガラクタ煎兵衛かく語りき


みみざわりな まぎゃく

 まただ。おかげで頭の中で築き上げていった思考の骨組みがガタガタに崩れ落ちて、かろうじてこの話者は誰だったっけとそこから這いずりだす。

 TVでもラジオでもこの言葉が出現するとこんな状態になってしまうのだ。さっきは「みみざわりがいい」、今度は「まぎゃく」。

 「みみざわり」は感じでは「耳障り」と書いて、普通は「あの音は耳障りです」と使う。それに良いも悪いもないのだ。”みみざわり”と聞いただけで、頭の中の言語中枢は”不快な音”の概念を想起し、続く言葉を待つ。そこに”良い”という言葉が来ると、理解不能もしくは思考停止の状態を招いてしまうのだ。

 どうやら「耳触り」という言葉があるらしい。昔はあったっけ。まぎらわしいことこの上ない。

 子供手当ての法案成立を憂いて熱弁をふるっていたからには、さぞご高名な評論家、あるいは有名人なのだろう。民主党のバラマキ政策を看破せんとする御高説のさなかにこの「みみざわりがいい法案」というフレーズが出てきたもんだから、私は冒頭に書いた状態に陥ってしまったのだ。


 わずか数分前には、以前素晴らしい話(雛飾りの蘊蓄)をなさっていて、秘かに感心していた女性がラジオで「まぎゃく」と言い放ってしまった。

 正反対の意味で「真逆」という言葉を使用するのは間違いで、「真逆」は「まさか」と読む。「まさかあの人が怪盗パロパロだったとは!」の”まさか”だ。

 一部の業界(映画界)で「まぎゃく」という言葉は使われていたが、一般の社会では何それ? というくらい以前はなかった。それが近年”若者言葉”として普及してきたという。

 でもまあ、ちゃんとした大人は止めようよ。いずれ言葉は変化していくのかもしれないけど、まだ対応しきれていない人がいるんだから。



 でも、ブログのネタを作ってくれた事には素直に感謝するよ。
 





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