Nicotto Town


ガラクタ煎兵衛かく語りき


名前を変えて愛し合おうよ



「初めまして」
「初めましてです」

「変わったお名前ですね」
「いつも言われますw」

「ええと きんしょうじさんで良いんでしょうか?」
「そんなはずないでしょうw」

名前は名前 私じゃない
私な訳ない
私は私 名前じゃない
名前って何?





「それでは もう一回 始めさせていただきます 初めまして」
「初めましてです」
「ほんとに変わったお名前ですね」
「ほんとにいつも言われます」
「ええと だいしょうじさんで良いんでしょうか?」
「そんなはずないでしょうWw」


名前は名前 私じゃない
私な訳ない
私は私 名前じゃない
名前って何?


私に訊いて 私に問うて 私に感づかせて 私に感じさせて


この名前読めない 最後に彼は呟いた
お手上げみたい
だから訊いた
それでいいの?



彼の真摯な瞳が再び輝いた
「君をこれから命名する!」

これよこれよ

「君をこれから薄野山桃子と命ずる!」

はあ?
彼のセンスの無さに一瞬肩肘を崩した

私の明らかな落胆姿勢に彼も反応し直した

「う~ん やり直し!もう一回」

こんな状況でも彼の顎が上を向いているのは期待できるのかもしれない
素敵な顎の線
私は待った 手を組みながらね

「君をこれからジュヌビエーヌ・キャサリン・三世と命ずる!」

おもわず私の口から飛び出したポタージュのコーンの一粒が
彼の綺麗な首筋のピンクカラーにくっ付いた

「あ ごめんなさい でも あまりにも、、、」


彼は寸時にうなだれた
さすがに自分でもこれじゃいかんだろうと思ったらしい
数十秒後 力を取り戻して もう最後だという目つきで私を見直した

私も見返した

これが最後のチャンスだとお互いに感じた
彼は言った



「君が好きだ」



かえす言葉も無かった
手近のナプキンで彼の一つくっ付いた襟のトウモロコシを取りにいった
その手を性急に奪って彼は私の手を取りながら 自らの首筋に押し当てた



「今決めた 君の名を」

私もその時自分の人生をきめた

「君をこれから花子と命ずる!」





あのー 戻りたいんですが
独身時代に戻りたいんですが
今さらダメですか?










全国の花子さんごめんなさい
別に他意はありません
あまりにも素敵なお名前なので





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