土曜日のカルナバル（無口な二人③）
- カテゴリ：日記
- 2023/11/29 00:20:31
雪が降り始めた
明日には積もるだろう
二人とも雪国育ち
明日の朝は容易にイメージできる
目覚める
窓から見渡す信じられないくらいの銀世界
（昨日からの）夫はまだ寝てる
軽く蹴飛ばす
起きない フガフガ云ってる
そうだね 今日は土曜日
みんな楽しい みんなワクワク みんな週明けのことは考えたくない
もうちょっと寝かせてあげようかなと チラッと思う
こんな風に新婚生活は始まるのかな 首をかしげながらそう思った
誰でも
私でも
部屋中が花の香りで溢れてる 鼻の奥がｷｭﾝｷｭﾝする
大ぶりの切り花を 活けていた浴槽から救い出す
水気を切り 適当にまとめて結び 窓際のレールに逆さに吊るす
今日は土曜日
安息日の前日
お腹が空いた
カップ麺を食べるためお湯を沸かす
その辺で夫が起きてきた
彼の起きるタイミングに一瞬憧れた
そういえば夫の朝の食生活については殆ど知らない
そんなんでよく婚姻届を許したもんだと我ながら思う
無口の夫は何も言わずキッチンの椅子に座る
まだフガフガ云ってる
今日は土曜日
安息日の前日
レースカーテンを開けて 夫が外を見渡す しばらく屹立している
やがて今日初めて言葉を発した
「中山峠に行こう」
初めての積雪
峠は冷え切っているだろう
こんな日に車で出かけるなんて馬鹿げている
あ だから 婚姻届けを許したのか
スタッドレスタイヤは凍った路面をグリッドした
国道230号線を南に下り 吹きすさぶ雪の中 峠に向けて昇った
2時間で 道の駅 望羊中山に着いた
あげいもを二人で食べた 美味しかった
暖房を切って出かけた
今頃 窓辺の逆さ花束は その表面に霜を飾ってるだろう
レースカーテンから漏れ射す月光が鮮やかにその表面を輝かせてるだろう
今日は土曜日
安息日の前日
あげいも 美味しかった
帰るよ
