『弔詞』 石垣りん
- カテゴリ:小説/詩
- 2015/08/30 03:02:17
夜中に、段々と感極まってくるって事、ありませんか?
私は、時折あります。そんな時は石垣りんさんの詩集を読みます。
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弔詞
職場新聞に掲載された一〇五名の
戦没者名簿によせて
ここに書かれたひとつの名前から、ひとりの人が立ちあがる。
ああ あなたでしたね。
あなたも死んだのですね。
活字にすれば四つか五つ。その向こうにあるひとつのいのち。悲惨にとぢられたひとりの人生。
たとえば海老原寿美子さん。長身で陽気な若い女性。一九四五年三月十日の大空襲に、母親と抱き合って、ドブの中で死んでいた、私の仲間。
あなたはいま、
どのような眠りを、
眠っているだろうか。
そして私はどのように、さめているというのか?
死者の記憶が遠ざかるとき、
同じ速度で、死は私たちに近づく。
戦争がおわって二十年。もうここに並んだ死者たちのことを、覚えている人も職場に少ない。
死者は静かに立ちあがる。
さみしい笑顔で
この紙面から立ち去ろうとしている。忘却の方へ発とうとしている。
私は呼びかける。
西脇さん、
水原さん、
みんな、ここへ戻って下さい。
どのようにして戦争にまきこまれ、
どのようにして
死なねばならなかったか。
語って
下さい。
戦争の記憶が遠ざかるとき、
戦争がまた
私たちに近づく。
そうでなければ良い。
八月十五日。
眠っているのは私たち。
苦しみにさめているのは
あなたたち。
行かないで下さい 皆さん、どうかここに居て下さい。
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安倍晋三首相、私たちをどこへ導くのですか…。
(((uдu*)ゥンゥン・・良い詩です・・。
戦争の記憶が・・遠ざかるとき・・
戦争がまた・・私たちに近づく・・。
そうでなければいい・・。
本当にその通りだと・・。